GSKは30日、回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害剤「リネリキシバット」について、原発性胆汁性胆管炎(PBC)における胆汁うっ滞性そう痒症治療薬として欧州医薬品庁(EMA)が販売承認申請を受理したと発表した。
対象は、まれな自己免疫性肝疾患であるPBCに関連する胆汁うっ滞性そう痒症(持続的な強いかゆみ)。同剤は、現在、世界のどの国・地域でも承認されていない。
IBATの阻害剤のリネリキシバットは、PBCというまれな自己免疫性肝疾患でみられる胆汁うっ滞性そう痒症を治療する経口薬として開発されている。
胆汁酸の再吸収を阻害することで、循環血中の様々な起痒物質を減少させる。PBCにおける胆汁うっ滞性そう痒症の治療を適応として、米国FDAとEMAにより希少疾病用医薬品に指定されており、現在、米国と英国で承認審査中。日本では本年6月27日に希少疾病用医薬品に指定されている。
今回の申請は、5月に欧州肝臓学会(EASL)で発表されたP3試験(GLISTEN)の良好な結果に基づくもの。GLISTEN試験では、胆汁うっ滞性そう痒症およびかゆみに関連した睡眠障害に対し、プラセボ群と比較して迅速かつ有意で持続的な改善を示し、主要評価項目と主な副次評価項目が達成された。
また、リネリキシバットの安全性プロファイルは、以前の試験およびIBAT阻害のメカニズムから想定されたものと一致していた。
PBCは、胆汁うっ滞性肝疾患で、肝臓からの胆汁の流れが障害を受けた結果、循環血中に過剰な胆汁酸が生じ、胆汁うっ滞性そう痒症(皮膚を掻いても軽減しない体内のかゆみ)を引き起こすと考えられている。
そう痒症は、PBCの病期や肝機能検査値のコントロールの程度を問わず発現する可能性があり、海外ではPBC患者の最大90%が様々な程度の重症度で経験するとの報告がある。
PBCに対する一次治療は、約70%の患者で疾患自体の進展抑制が得られるものの、そう痒の重症度や生活への影響を軽減することはない。
胆汁うっ滞性そう痒症は、睡眠障害、疲労、生活の質の低下をもたらし、患者を衰弱させる深刻な影響を及ぼす疾患であり、肝不全がなくとも肝移植を必要とする可能性も示唆されている。
◆カイヴァン・カヴァンディGSKシニアバイスプレジデント、呼吸器・免疫・炎症部門R&Dグローバルヘッドのコメント
EMAによる本申請の受理は、今月初旬の米国FDAによる申請受理に続き、リネリキシバットの開発において重要な進展となる。PBCに関連する持続的な強いかゆみは睡眠障害につながることが多いが、現在、治療の選択肢は非常に限られている。リネリキシバットは、これらの症状に苦しむ患者さんの生活に変化をもたらす可能性があると信じている。