オプジーボ・化学療法併用療法による非小細胞肺がん術前補助療法とオプジーボ単剤での術後補助療法 欧州で承認取得 小野薬品

 小野薬品は19日、オプジーボと化学療法の併用療法について、欧州委員会(EC)より非小細胞肺がんの術前・術後の周術期療法における承認を取得したと発表した。提携するブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が16日に公表したもの。
 対象は、PD-L1発現レベルが 1%以上で再発リスクが高い切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)成人患者の術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボによる術後補助療法の周術期療法。
 PD-L1発現レベルが 1%以上で再発リスクが高い切除可能なNSCLCの成人患者を対象とするECの承認は、欧州連合(EU)の全27加盟国に加え、アイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーの3カ国に適用される。EUでは、肺がんでの承認に加え、複数のがん腫の治療薬としてオプジーボを含む治療選択肢が承認されている。
 また、昨年10月、CheckMate -77T試験に基づき、米国FDAは、切除可能(腫瘍径≧4cmまたはリンパ節転移陽性)なNSCLCを有し、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陰性または未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子の再構成を伴わない成人患者の治療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法を承認している。
 今回のECの決定は、切除可能なNSCLCの成人患者を対象に、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法2剤の併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のオプジーボ単剤療法による術後補助療法の周術期療法を、プラチナ製剤を含む化学療法2剤とプラセボの併用療法による術前補助療法と、それに続く術後のプラセボによる術後補助療法と比較評価したCheckMate-77T試験の結果に基づくもの。
 CheckMate-77T試験の中央値25.4カ月の追跡調査で、オプジーボ群は、化学療法とプラセボの併用療法群と比較して、再発、病勢進行または死亡のリスクを42%低減し(EFS ハザード比 [HR] 0.58;95% 信頼区間 [CI]:0.43 – 0.78;p=0.00025)、同試験の主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を達成した。
 また、24カ月EFS率は、オプジーボ群で65%であったのに対して、化学療法とプラセボの併用療法群では44%であった。さらに、同試験では、副次有効性評価項目である病理学的完全奏効(pCR)およびMajor Pathological Response(MPR)でも、臨床的に意義のある改善が示された。
 この周術期療法レジメンのベネフィットは、すべての有効性評価項目および無作為化されたすべての患者において示された。また、周術期療法の安全性プロファイルは、NSCLCを対象とした試験でこれまでに報告されているものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 CheckMate-77T試験のEFS、pCRおよびMPRの結果は、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)会議 にて初めて発表されるとともに、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された。最新結果は、2024年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で公表された。
 CheckMate-77T試験は、主な副次評価項目である全生存期間(OS)を評価するため進行中である。

◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼オプジーボ開発担当グローバルプログラム責任者(M.D.、M.S.C.E.)のコメント
 今回の承認は、EUにおける特定の切除可能なNSCLC患者さんに、免疫療法薬を用いた周術期療法による新たな治療選択肢を提供するものであり、初回治療後の再発リスクを有意に低減できる治療法に対するアンメットニーズの解消を支持するものである。
 今回の承認により、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法とそれに続く術後のオプジーボによる術後補助療法は、治療過程の早い段階でがんの再発リスクを有意に低減するとともに長期的な予後を改善し、特定の患者さんの疾患の経過を変えうる可能性がある。

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