経口オレキシン2受容体作動薬「oveporexton」 NT1対象P2b試験で好結果 武田薬品

 武田薬品は15日、経口オレキシン2受容体作動薬「oveporexton」(TAK-861)について、ナルコレプシータイプ1(NT1)におけるP2b試験において、主要評価項目の覚醒維持検査や、副次評価項目のエプワース眠気尺度において統計的に有意な改善を示したと発表した。殆どの被験者が正常範囲に近い覚醒度および検証された広範な症状において臨床的に意義のある改善を達成した。これらの試験結果は、The New England Journal of Medicine 誌に掲載された。
 oveporextonは、NT1 の原因となるオレキシン欠乏症を解消するためにオレキシンシグナルを回復させるよう設計された開発中の経口オレキシン2受容体(OX2R)作動薬である。
 P2b試験では、8週間にわたってプラセボと比較し、すべての用量で日中の過度の眠気(EDS)の客観的および主観的な指標の有意な改善、情動脱力発作(カタプレキシー)発現率の減少、疾患の重症度およびQOLにおいて臨床的に意義のある改善を示した。 NT1は、オレキシン産生ニューロンの著しい減少により引き起こされる慢性神経疾患であり、オレキシンレベルが低下し、EDS、カタプレキシー、認知機能症状、夜間の睡眠分断、入眠時や睡眠覚醒時の幻覚や、睡眠麻痺といった症状を伴う。これらの深刻な影響を伴う症状は QOLを著しく低下させ、仕事、学業や人間関係に深刻な影響を及ぼす。
 現在の標準治療には、さまざまな症状を管理するための多剤併用療法が含まれるが、これらの標準治療のいずれもNT1の根本的なオレキシン欠乏を標的としていない。

◆治験責任医師のYves Dauvilliers氏(モンペリエ大学Gui de Chauliac 病院神経科睡眠覚醒障害センターディレクター)のコメント
 NT1は、24時間症状がおこる可能性があり、健康で生産的な生活を送ることが非常に困難な疾患である。oveporextonは、NT1の基礎的な病態生理を解決するように設計された開発が最も進んでいるOX2R作動薬である。P2b試験で得られたデータにより、NT1の患者さんに影響を与える症状に対して全範囲にわたり臨床的に意義のある改善が示された。

◆サラ・シーク武田薬品ニューロサイエンス疾患領域ユニットヘッド兼グローバル開発ヘッド(MD M.Sc.,B.M., B.Ch, MRCP)のコメント
 NT1の患者さんにとって、出勤や通学、運転や運動、家族や友人との交流などの 日常の活動を管理することは、大きな課題になり得る。P2b試験データは、オレキシンシグナルを回復させることが、疾患の広範な領域に良好な影響を及ぼし、健常者に見られる通常に近い覚醒度を達成する可能性があることを示唆している。
 当社は、oveporextonが NT1 患者さんにとって革新的なファースト・イン・クラスの治療選択肢となるよう懸命に開発に取り組んでいる。

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