中外製薬は13日、遺伝子治療薬「エレビジス」(一般名:デランジストロゲン モキセパルボベク)について、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療を目的とした再生医療等製品として国内で条件及び期限付承認に該当する製造販売承認を厚労省より取得したと発表した。
投与対象は、DMDのうち、エクソン8及び/またはエクソン9の一部または全体の欠失変異を有さず、抗AAVrh74抗体が陰性である3歳以上8歳未満の歩行可能な人。
投与前に実施する抗AAVrh74抗体陰性の確認には、エクルーシス試薬Anti-AAVrh74の使用が可能である。同試薬は、ロシュ・ダイアグノスティックスより、エレビジスのDMDの適応判定を補助するコンパニオン診断薬として、本年3月5日に製造販売承認を取得している。
今回の承認は、歩行可能なDMDの4歳~7歳の男児を対象にしたエレビジスの有効性および安全性を評価したグローバルP3試験(EMBARK試験)の最大2年間の成績を含むこれまでに実施した同品の全ての臨床試験成績等に基づくもの。
EMBARK試験の結果、主要評価項目である運動機能を評価するノース・スター歩行能力評価(NSAA)はプラセボに比し統計学的な有意差は認められなかったが、副次的評価項目(床から立ち上がるまでの時間、10メートルの歩行時間、Stride Velocity 95th Centile[SV95C]、4段上るまでの時間)において臨床的に意義のある改善が認められた。また、同試験において新たな安全性のシグナルは認められなかった。
◆奥田修代表取締役社長CEOのコメント
エレビジスが希少で難治性のDMDに対する遺伝子治療用製品として承認されたことを大変嬉しく思う。本品は、1回の投与でDMDの原因となるジストロフィンの欠損を補うよう設計された根本的な治療法である。DMDの治療が限られている中、新たな治療選択肢となるエレビジスを日本の患者さんに一日も早くお届けできるよう、発売に向け準備を進めていく。