塩野義製薬は7日、日本たばこ(JT)傘下の鳥居薬品の完全子会社化を目的とした株式公開買い付け(TOB)を5月8日より開始すると発表した。同TOBの買い付け総額は約807億円。TOB終了後にJTが持つ鳥居株を約700億円で取得し、9月に完全子会社化を目指す。
さらに、鳥居薬品の買収に伴い塩野義製薬は、JTの医薬品事業を54億円、JT完全子会社の海外開発会社アクロスを36億円で取得するため買収総額は約1600億円となる。JTは医薬事業から撤退し、本業のたばこ事業に集中する。
塩野義製薬は、売上収益目標として2025年度5500億円(2024年度通期予想4600億円)2030年度8000億円を掲げている。手代木会長兼社長CEOは、「HIVフランチャイズや COVID-19関連製品+インフルエンザファミリーなどの主力製品の成長で、かなり良い線まで行くと思う」と予測した上で、「足りない分はM&Aも含めて5500億円、5年先の8000億円のラインを必ず達成したい」との決意を表明している。
今回の鳥居薬品買収もその一環として実施されるもの。鳥居薬品は、「VISION2030」で、売上高800億円超(過去最高売上高は2017年12月期の641億円)、過去最高営業利益(2001年3月期133億円)の更新を目指している。
売上面では、アレルゲン領域及び皮膚疾患領域が成長ドライバーとして牽引し、2024年の売上高は対前年比10.6%の増加となっている。また、2024年10 月29日には開発を進めていたアトピー性皮膚炎治療剤及び尋常性乾癬治療剤「ブイタマークリーム」の販売を開始。「新規導入品の獲得」にも積極的に取り組んでおり、2023年には「尋常性ざ瘡治療薬」、「イネ科花粉症に対するアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)薬」のライセンス契約をそれぞれ締結している。鳥居薬品の株式買付けの概要は、次の通り。
◆公開買付開始公告日 2025年5月8日
◆ 届出当初の買付け等の期間:2025年5月8日から6月18日まで(30営業日)
◆買付け等の価格:普通株式1株につき金6350円(2日の終値5230円に約2割上乗せ)
◆買付予定数:普通株式1271万2351株
◆買付予定数の下限:334万2000株
◆買付予定数の上限:無し
◆買付代金:807億2342万8850 円