レケンビ EUで早期アルツハイマー病進行抑制治療剤として承認取得 エーザイ

 エーザイは16日、抗アミロイドベータ(Aβ)モノクローナル抗体「レケンビ」(一般名:レカネマブ)について、欧州委員会より欧州連合(EU)における販売承認を取得したと発表した。同剤は、EUにおいて販売承認を取得したアルツハイマー病の根本原因を標的とする初めての治療剤となる。
 「レケンビ」がEUにおいて取得した適応は、「アミロイド病理が確認されたApoEεが非保有またはヘテロ接合体である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症(早期AD)の治療。
 同販売承認は、EU加盟国全27か国に加え、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーに適用される。
 エーザイは、同剤の開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。
 北欧諸国を除くEUにおいては、エーザイおよびバイオジェンが共同販促を行い、エーザイが医薬品市販承認取得者として同剤を販売する。北欧諸国においては、エーザイおよびBioArctic AB(本社:スウェーデン)が共同販促を行い、エーザイが医薬品市販承認取得者として同剤を販売する。
 「レケンビ」は、毒性の高いプロトフィブリル(可溶性Aβ凝集体)に選択的に結合して除去するとともにAβプラーク(不溶性Aβ凝集体)を標的として減少させる唯一の承認を取得した抗Aβモノクローナル抗体である。プロトフィブリルは、脳内に蓄積し、神経損傷を引き起こす、Aβの凝集体の中でも毒性を有する主要な形態だ。
 欧州におけるアルツハイマー病に伴う軽度認知障害およびアルツハイマ―型認知症の当事者数はそれぞれ、1520万人、690万人と推定されている。ADは、時間の経過とともに段階的に進行して重症度が増し、その疾患の段階によってAD当事者や介護者にそれぞれ異なる困難をもたらす。従って、早期ステージからADの進行を遅らせ、AD当事者様と社会の負担を軽減する新しい治療オプションに対して、大きなアンメット・ニーズが存在する。

◆内藤晴夫エーザイCEOのコメント
 今回の承認取得により、「レケンビ」は、早期ADの進行を抑制するEUにおいて初めての治療選択肢となった。認知症領域における当社の約40年に及ぶ取り組みがこの重要なマイルストンにつながったことを誇りに思うとともに、この疾患に苦しむ世界中の当事者さんのより良い未来のために貢献していく所存である。
 EU各国でレケンビを必要とする早期AD当事者さんができるだけ早く本剤にアクセスできるよう各国の保険償還当局や医療提供者と連携して取り組み、EUにおける当事者さんに加え、介護されるご家族、さらには社会に対する貢献を目指したい。

◆Christopher A. Viehbacherバイオジェンの社長兼CEOのコメント
 欧州委員会によるレカネマブの承認は、この重要な治療剤の承認として世界で13番目となる。レカネマブはすでに、米国、日本、および世界の他の地域で多くの当事さんに貢献している。レカネマブは、脳内のAβプラークの減少が、早期AD当事者の認知機能低下の抑制と関連していることを示した初めての治療剤で、過去20年間にイノベーションが殆ど起こらなかった分野における画期的な進歩である。

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