エーザイは14日、早期アルツハイマー病治療剤「レケンビ」について、皮下注射オートインジェクター(SC-AI)による維持投与(週一回投与)に関する生物製剤承認申請(BLA)を米国FDAが受理したと発表した。
PDUFA(Prescription Drug User Fee Act)アクションデート(審査終了目標日)は、2025年8月31日に設定された。承認されれば、「レケンビ」は、平均15秒で投与が完了するオートインジェクター(AI)によって自宅での投与が可能な唯一の抗アミロイド療法となる。
米国における「レケンビ」の適応は、アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症(総称して早期AD)の治療である。
同BLAは、P3相Clarity AD試験(301試験)の非盲検長期継続投与試験(OLE)のデータおよびこれまでに得られたデータを用いたモデリングに基づくもの。
承認されれば、「レケンビ」は、2週間に一回の静注(IV)投与による初期治療(具体的期間はFDAと協議中)後に、SC-AIを用いて週一回維持投与(固定用量360㎎)することで、臨床上およびバイオマーカー上のベネフィットの維持が見込まれる。
ADは、その病理変化がプラーク沈着前に始まり、プラーク沈着後も継続する進行性の神経毒性プロセスを有する疾患である。「レケンビ」は、プロトフィブリルの継続的な除去とプラークの迅速な除去という二つの作用を有する唯一のAD治療剤であり、継続的な投与により、Aβプラーク除去後も神経細胞に損傷を引き起こす毒性の高いプロトフィブリルを継続的に除去する。
アルツハイマー病協会国際会議(AAIC2024)で発表された3年間に渡る長期投与データにおいて、「レケンビ」は、早期に治療を開始し、プラーク除去後も治療を継続することで治療効果が延長することが示唆されている。
同投与法は、当事者とケアパートナーにとってより使いやすくなることが期待されている。IV投与に比べ通院や看護の手間を軽減し、維持投与の継続がより容易になるとともに、ADの治療パスウェイをより簡素化することが可能となる。
レケンビは、米国、日本、中国、韓国、香港、イスラエル、アラブ首長国連邦、英国(北アイルランドを除く)、メキシコ、マカオで承認を取得している。欧州(EU)をはじめ、17の国と地域で承認申請を行っており、2024年11月に欧州医薬品委員会より承認勧告を受領した。
IV維持投与について、2024年6月にFDAは生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理し、PDUFAアクションデートは2025年1月25日に設定された。
レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。