持続性 GIP/GLP-1 受容体作動薬「ゼップバウンド」 肥満症を適応症に国内製造販売承認取得 日本イーライリリーと田辺三菱製薬

 日本イーライリリーと田辺三菱製薬は27日、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「ゼップバウンド」(一般名:チルゼパチド)について、複合的な要因からなる慢性疾患である「肥満症」を効能・効果として日本イーライリリーが国内製造販売承認を取得したと発表した。
 ゼップバウンドの適応症は、「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症又は 2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。加えて、BMIが27 kg/㎡以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する ・BMIが35 kg/㎡以上とされている。
 日本におけるゼップバウンドの提供については、2型糖尿病薬「マンジャロ」と同様に、田辺三菱製薬が流通・販売を行い、日本イーライリリーと田辺三菱製薬が共同で情報提供活動を行う。
 ゼップバウンドは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の二つの受容体に作用する持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。ゼップバウンドは、天然GIPペプチド配列をベースとした単一分子であるが、GLP-1受容体にも結合するように改変されており、選択的に長時間作用するため週1回投与が可能だ。
 両社が2型糖尿病治療薬として販売中で同分子のマンジャロ同様、同剤は1回使い切りのオートインジェクター型注入器「アテオス」により、週1回皮下注射で投与される。用量も同様に2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgの6規格のラインナップで、状態に応じての使い分けが可能である。
 今回のゼップバウンドの承認は、主に、国内P3床試験(SURMOUNT-J試験)において検討された肥満症の日本人成人に対するチルゼパチドの有効性および安全性の結果に基づくもの。SURMOUNT-J試験では、72週時の体重のベースラインからの平均変化率は、プラセボ群(n=75)1.7%減に対して、チルゼパ
チド10mg群(n=71)17.8%減、チルゼパチド15mg群(n=76)22.7%減と、チルゼパチド両群でプラセボ群に対する優越性が示された。
 また、「5%以上の体重減少を達成した試験参加者の割合」は、プラセボ群の20.0%に対してチルゼパチド10mg群94.4%、チルゼパチド15mg群96.1%と、両群ともにプラセボ群に対する優越性を示した。
 さらに、副次評価項目として、72週時の体重がベースラインから7%以上減、10%以上減、
15%以上減、20%以上減、とそれぞれの達成率を比較したところ、いずれの評価項目においてもチルゼパチド両群で、プラセボ群に対する優越性が示された。
 
◆ゲイリー・マイルズ日本イーライリリーの糖尿病・成長ホルモン事業本部長のコメント 今回のゼップバウンドの承認取得により、日本の肥満症のある方へ革新的な治療選択肢をお届けできることを大変嬉しく思う。肥満症は、QOLの低下だけでなく、さらに他の健康障害を引き起こすリスクや、既に患っている他の疾患を悪化させるリスクがある。それにもかかわらず、これまでは治療選択肢が限られていたこともあり、他の慢性疾患と同じレベルの必要な診断や治療がなされてこなかった現状がある。ゼップバウンドを通じて、肥満症のある人がエビデンスに基づく最適な治療を享受し、より充実した生活を送ることができるよう取り組んでいく。

◆倉垣康隆田辺三菱製薬日本医薬事業本部長 のコメント
 ゼップバウンドが日本で承認されたことを大変喜ばしく思う。肥満には、遺伝的、身体的、心理的、社会的など複合的な要因があり、生活習慣だけが原因ではないにもかかわらず、肥満に対するスティグマ(偏見)が社会課題として存在している。ゼップバウンドという新しい治療選択肢の登場をきっかけに、慢性疾患である肥満症が正しく理解され、肥満症のある人がよりよい生活を送ることができるよう、貢献できることを期待している。

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