抗てんかん薬「cenobamate」 P3試験で韓国、中国、日本での臨床的有効性・安全性確認 小野薬品

  小野薬品は10日、韓国SKバイオファーマシューティカルズが開発した抗てんかん薬「cenobamate」(米国販売名:XCOPRI)について、北東アジア人のてんかん患者を対象としたP3試験(YKP3089C035)において韓国、中国、日本のてんかん患者における臨床的な有効性と安全性が示されたと発表した。
 抗てんかん薬(ASM)による治療でコントロール不良な部分(焦点)発作を有するアジア人患者において、cenobamateの併用療法としての有効性および安全性が示されたもの。
 cenobamateは、小野薬品が2020年10月にSK ファーマシューティカルズと同剤に関するライセンス契約を締結し、日本において独占的に開発および商業化する権利を取得している。P3試験の好結果は2024年のAES年次総会(米国ロサンゼルスで開催)で公表された。同結果に基づき、アジアにおけるcenobamateの提携企業各社はそれぞれの国で新薬承認申請(NDA)を進める。
 てんかんは再発性の発作を特徴とし、脳卒中や認知症に次いで3番目に多い神経疾患で、全世界で毎年約500万人が新たに診断されている。
 Cenobamateは、予測できない発作に苦しむ成人てんかん患者において有意な無発作率を示すことがすでに確認されており、2020年の米国、2021年の欧州での上市以降、積極的に処方されている。
 昨年、cenobamateは米国の新規てんかん患者のための治療薬の中で最も多く選択され、市場占有率が43%となり、全世界の累積処方件数は14万件を超えた。
 韓国、中国および日本で実施されたP3試験では、1~3種類のASMの投与にもかかわらず部分(焦点)発作を有する18歳~70歳の成人を対象に、cenobamateの併用療法としての有効性および安全性を評価した。
 この無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験では、患者をプラセボ群か、併用療法としてcenobamateを100mg、200mgもしくは400mgを1日1回投与する群に1:1:1:1の比率で割り付けた。
 試験結果によると、cenobamateは有効性の主要評価項目を達成し、すべての用量において6週間の維持期での発作頻度の変化率の中央値が有意に減少。400mgの用量では発作頻度が100%減少した。(プラセボ群:25.9%、cenobamate:100mg群で42.6%、200mg群で78.3%、400mg群で100%)
 有効性の副次評価項目の解析では、6週間の維持期での奏効率でも有意な発作消失率が示された(プラセボ群で2.6%、cenobamate:100mg群で12.4%(p=0.005)、200mg群で30.1%(p<0.001)、400mg群で52.4%)。
 Cenobamate投与群で多く認められた有害事象(TEAE)(20%以上)は浮動性めまいおよび傾眠であった。また、cenobamate漸増の早期に相当する5週目から6週目にかけて部分(焦点)発作頻度の有意な減少も認められ、減少率はcenobamate群で42.9%、プラセボ群で15.4%であった(p=0.002)。
 有意な発作減少は、評価したすべての発作サブタイプ(焦点意識保持運動発作、焦点意識減損発作、焦点起始両側強直間代性発作)で認められた。
 2024年のAES年次総会では、cenobamateに関する9つの研究ポスターが発表された。これらには、cenobamateの二種の作用機序を詳述した初めての公表となるcenobamateの二種の作用機序に関する発表、柔軟かつ個別化投与の可能性を強調する発作消失をもたらす最初の投与量による発作消失に関する発表、および応答性神経刺激によるてんかん様事象に対するcenobamateの有効性に関する発表が含まれている。

◆Dong-Hoon Lee韓国SKバイオファーマシューティカルズCEOのコメント
 北東アジアにおけるcenobamateのP3試験が成功裏に完了したことを報告することができ光栄に思う。世界的に革新的な治療薬として認識されているcenobamateは、この試験の結果を土台として、北東アジアの患者さんにとって有望な新しい治療パラダイムをもたらすだろう。
 本年のAESで発表された多様な試験は、私たちがアンメット・メディカル・ニーズに対応し、世界中のてんかん患者さんの生活の質を向上させるという取り組みを強調するものだ。我々は今後も、医療におけるグローバルイノベーションを推進し、持続可能な医療エコシステム発展のために尽力していく。

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