MSDは15日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9」について、日本において男性への接種対象拡大と肛門がんの予防の適応追加承認申請を行ったと発表した。
現在、日本で男性に接種可能なHPVワクチンは、4価HPVワクチン「ガーダシル」のみである。今回の申請が承認された場合、さらに5つのHPV型を加えた9つの型に対応している9価HPVワクチン「シルガード9」でも、肛門がんと尖圭コンジローマの予防のための男性への接種が可能となる。
2024年8月時点で「シルガード9」は、90以上の国または地域で女性だけでなく男性への適応も取得している。また、HPVワクチンは、2024年10月時点で70以上の国または地域で定期接種プログラム等を通して男女ともに接種が推奨されている。
若年層に対する2回接種は、米国やドイツ、フランスなどでも承認されており、今回の申請で日本も諸外国と同様の性別によらないHPVワクチン接種の環境が、より一層整うことが期待される。
さらに、今回の申請が承認された場合、女性においては、子宮頸がんや尖圭コンジローマなどの従来の適応症に、新たに肛門がんが追加されることになる。肛門がんは、その約80~90%にHPV感染が関与しているとの報告がある。また、肛門がんは、現時点では検診などの早期発見のためのスクリーニング方法が確立されておらず、HPVワクチン接種は、肛門がんおよびその前駆病変の予防のための有用な手段であると考えられている。