成長製品・新製品が牽引して好業績達成 武田薬品クリストフ・ウェバー社長

 武田薬品は10月31日、2024年度上期決算を発表し、クリストフ・ウェバー社長CEOが、「上期業績は、成長製品・新製品のポートフォリオに力強い勢いがあった。パイプラインのポテンシャル、利益率改善のための効率化推進へのコミットメントを示した」と振り返った。
 本年5月に公表した効率化プログラムの進捗状況として、「コア営業利益を改善するために、パイプラインの優先順位を厳格に決定してきた。こうした中で複数のプログラムがP3相にある」と報告した。
 また、本社および各地域の部門で構造改革を行った結果、「サンディエゴの研究拠点を閉鎖し、今後は米国のケンブリッジと日本の湘南の2拠点に研究活動を集中させる」(古田未来乃 チーフ フィナンシャル オフィサー)。
 2024年度上期業績は、売上収益2兆3840億円(対前年同期比AREベースで13.4%増)、営業利益3505億7600万円(194.0%増)、税引き前利益2559億7600万円(555.5%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益1872億9400万円(352.8%増)となった。Core営業利益は7199億円(22.3%増)、Core営業利益率30.2%。
 売上収益は、恒常為替レート (CER) ベースで5.0%増、実勢レート(AER)ベースで13.4%増となり、新製品が牽引した。成長製品・新製品は18.7%の成長を示し、売上収益全体の47%を占めた。
 成長製品・新製品の好調さをウェバー氏は、「米国でのエンタイビオ(潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤)の二桁成長の快気に強調されている」と説明した。
 新製品のフリュザクラ(大腸がん治療剤)は、2023年に米国で上市以来順調な立ち上がりをみせている。米国での承認から1年足らずで8カ国で承認され、「今年はより広範な地域での商業化を開始し、世界的な成長を後押しする体制を整えている」(ウエバー氏)。
 一方、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したビバンセ(ADHD治療剤)は、米国で29%減、全世界で18.0%減となった。
 ウェバー氏は、「米国での後発品の浸食は予想より緩やかであったが、後発品の供給が正常化するに連れて下期には侵食される可能性がある」と明言。その上で、「後発品のビバンセ浸食が下期の売上収益と利益に影響を及ぼす」と予測した。
 2024年度中間期の消化器系疾患の売上収益は、6952億円(対前年同期比16.5%増)となった。その中で、エンタイビオは4732億円(20.8%増)を計上した。米国の売上は3266億円(20.5%増)。
オンコロジーの売上収益は2850億円(26.6%増)。フリュザクラの売上は、231億円で、好調な立ち上がりを示した。
 ニューロサイエンスの売上収益は3146億円(4.9%減)。その内ビバンセは2032億円(10.2%減)。ビバンセの減収は後発品参入によるもので、欧州における成人向け市場の拡大や円安による増収影響は、この減収影響を一部相殺するにとどまった。
 血漿分画製剤も5357億円(24.5%増)と好調に推移した。
 ワクチンも381億円(114.0%増)と大幅に伸長。デング熱ワクチン「QDENGA」の売上は、199億円(927.6%増)となった。この増収は、デング熱流行国においてQDENGAのアクセスが拡大したことによるもので、非流行国も含め20ヶ国以上で利用可能となっている。
希少疾患の売上収益は、3887億円(14.0%増)で、遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、1110億円(27.5%増)。タクザイロの増収は、主に米国、欧州およびカナダにおいての需要増加と円安による増収が要因となっている。

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