抗がん剤「タスフィゴ」 国内において胆道がんでの効能・効果で製造販売承認取得 エーザイ

 エーザイは24日、抗がん剤「タスフィゴ」(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩)について、日本において FGFR2 融合遺伝子を有する胆道がんに係る効能・効果で製造販売承認を取得したと発表した。対象は、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん。
 同剤は、日本において、厚労省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されており、2023 年 12 月に製造販売承認申請を行っていた。同承認は、エーザイが日本および中国で実施した多施設共同、非盲検、単群のP2試験(201試験)などの結果に基づくもの。
 201試験では、ゲムシタビンをベースとした併用化学療法の前治療歴のある切除不能進行または転移性のFGFR2融合遺伝子を有する胆管がん患者63人が登録され、主要評価項目として奏効率(Objective Response Rate: ORR)、副次評価項目として安全性などが評価された。
 同試験における「タスフィゴ」の独立画像判定によるORRは、30.2%(90%信頼区間(CI):20.7-41.0)であり、事前に設定した ORR の閾値(15%)を統計学的に有意に上回り、主要評価項目を達成した。同試験で認められた「タスフィゴ」の主な有害事象(Treatment-emergent adverse events、発現率 25%以上)は、高リン血症(81.0%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(44.4%)、下痢(36.5%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(31.7%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(28.6%)、口内炎(25.4%)であった。
 日本における胆道がんの患者様数は約 2.2 万人と推計され、5年相対生存率が約25%と膵臓がんに次いで予後の悪い難治がんであり、他のがんと比較して薬物療法の選択肢も限られ、アンメット・メディカル・ニーズの非常に高い疾患である。
 FGFR2 融合遺伝子は、胆道がんの15~30%を占める肝内胆管がんの約14%に認められている。遺伝子融合をはじめとするFGFRの遺伝子異常は、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などに深く関与していることが知られており、胆道がん以外の様々ながんで認められており、有望な治療標的として注目されている。
 「タスフィゴ」は、FGFR1、2、3を選択的に阻害し、そのシグナルを遮断することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。非臨床研究においては、日本人の胆道がんを対象とした大規模なゲノム解析により国立がん研究センター研究所(東京都)が同定したFGFR2融合遺伝子を発現させた細胞株において、「タスフィゴ」の抗腫瘍効果が確認されている。
 なお、同適応に係るFGFR2融合遺伝子を検出するコンパニオン診断薬として日本ステリ(東京都)の「AmoyDx FGFR2 Gene Break-apart FISHプローブキット」が本年8月に承認されている。

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