大塚製薬は24日、カルシニューリン阻害剤「ルプキネス」(一般名:ボクロスポリン)について、「ループス腎炎」の適応で、日本国内における製造販売承認を取得したと発表した。
ループス腎炎は、多臓器を障害する自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)によって引き起こされる高度なタンパク尿を伴う糸球体腎炎で、SLEの最も深刻な合併症の1つとされている。
国内におけるSLEの患者数は約6万人から10万人と推計されており、男女別にみると女性が9割を占め、特に20~40歳の女性に好発することが多い。アジア人は白人に比べ、腎病変の合併率が高く、SLE患者は診断時に21-65%、時間の経過とともに40-82%がループス腎炎を発症する。比較的若年に発症することで、SLE患者におけるループス腎炎の合併は生命予後の悪化につながる末期腎不全へのリスクを高めていると考えられている。タンパク尿を伴う糸球体腎炎の速やかな寛解達成と、その後の副腎皮質ステロイドの減量が課題となっている。
ルプキネスは、ループス腎炎を対象に開発された新規の経口免疫抑制剤で、T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用を発揮すると考えられている。
米国においては、オーリニア社が2021年1月に米国FDAより、成人の活動性ループス腎炎の適応で製造販売承認を取得している。大塚製薬は、2020年12月に日本と欧州における独占的開発販売権をオーリニア社から取得するライセンス契約を締結し、2022年9月に欧州委員会(EC)より同剤の販売承認を得ている。