国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」製造販売承認取得 大塚製薬

 大塚製薬は20日、瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」について、大塚製薬が国内における製造販売承認を取得したと発表した。ヘムサイトは、大塚製薬と国立がん研究センターが共同設計し、国立がん研究センター、九州大学、京都大学、名古屋医療センター、東京大学医科学研究所附属先端医療研究センター、慶應義塾大学医学部との共同研究コンソーシアムで開発した造血器腫造血器腫瘍遺伝子パネル検査。今後、保険適用の手続きを行い、発売に向けた準備を進める。
 がん遺伝子パネル検査は、固形腫瘍を対象としたものが既に保険適用されているが、造血器腫瘍では、製造販売承認されたものはなく、保険診療下でのがんゲノム医療が実施できいない。同製品は、厚生労働省から先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、国内で初めて製造販売承認された造血器腫瘍及び類縁疾患を対象とした遺伝子パネル検査で、体外診断用医薬品「ヘムサイト診断薬」と医療機器プログラム「ヘムサイト解析プログラム」により構成されている。
 近年、世界保健機関(WHO)等が提唱する造血器腫瘍の診断・治療指針では、ゲノム情報に基づいた診療が推奨され、ゲノム情報を用いずに適切な診断・治療を行うことが困難になりつつある。国内においても、日本血液学会から造血器腫瘍ゲノム検査ガイドラインが発行され、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など疾患・ステージ毎に遺伝子パネル検査推奨度が提示されている。同製品は、同ガイドラインにある造血器腫瘍の遺伝子異常が網羅的に検査できるように設計されており、遺伝子異常による「診断」、「治療法選択」、「予後予測」が可能になることが期待される。

◆共同研究コンソーシアムで臨床的有用性を検証した赤司浩一九州大学大学院 病態修復内科学教授のコメント
 近年、固形腫瘍を対象にした遺伝子パネル検査が保険適用されて以来、がんゲノム医療が急速に進展している。造血器腫瘍でも、がんゲノム医療の実装を目指し、造血器腫瘍ゲノム検査ガイドラインが発行されたが、造血器腫瘍に使用できる遺伝子パネル検査はなかった。
 今回の国産造血器腫瘍遺伝子パネル検査の承認により、造血器腫瘍においてもがんゲノム医療が進み、患者さん一人ひとりに最適な治療ができることを期待している。

◆大橋達朗大塚製薬診断事業部長のコメント
 ヘムサイトは日本で初めての造血器腫瘍遺伝子パネル検査である。大塚製薬は、これまで白血病を対象とした遺伝子検査用体外診断薬を製造販売してきた。ゲノム医療推進法の成立があるなか、今回、造血器腫瘍および類縁疾患を対象にしたヘムサイトが新しくラインアップに加わることを大変喜ばしく思う。造血器腫瘍は小児がんでは最も多いがんであり、成人も増加傾向にある。このため成人から小児まで必要とされるすべての造血器腫瘍患者さんの個別化医療へ貢献できることを期待している。

◆同製品開発に当たり開発および商業化契約を締結したグレッチェン・ウェイトマンイルミナ社アジアパシフィック、中東&アフリカ地域担当シニアバイスプレジデントのコメント
 ゲノムシーケンスにおけるテクノロジーパートナーとして、造血器腫瘍の患者さんに包括的なゲノムプロファイリングを提供する大塚製薬と医療機関をサポートできることを誇りに思っている。

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