47都道府県のヘルスリテラシー自己評価調査結果公表 ジョンソン・エンド・ジョンソン

福岡県、東京都、大阪府で健康管理のデジタルツール活用拡大

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは、「人生100年時代×デジタル社会の総合的なヘルスリテラシー国際調査」を6カ国で実施し、日本全国の20代~60 代の男女1万1750人が対象とした同調査の国内版調査結果を発表した。ヘルスリテラシーとは、健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力を意味する。
 同調査結果を都道府県別に分析した「人生100年時代のヘルスリテラシー白書」は、同社の「My Health, Myself ― 私の健康のために、私ができること。」プロジェクトホームページ(https://www.jnj.co.jp/jjmkk/my-health-myself)で公開している。
 同調査の47都道府県全体でのヘルスリテラシー自己評価は平均5.0点(10点満点)であったが、性別や年代、居住自治体によって、医療・健康に関する「情報の収集・判断」「行動」「デジタル活用」「コミュニケーション」の実態や意識に違いが見られた。
 特に、健康管理のデジタルツールについては、現在「活用している」と回答した人の割合が、男女20代・男性60代で平均以上となり、都道府県別では福岡県、東京都、大阪府で活用が広がっている様子がうかがえた。女性30代~60代では活用への高い期待が感じられた。

 

【ヘルスリテラシー自己評価・健康意識】

 47都道府県20代~60代11,750人のヘルスリテラシー自己評価 平均点5.0点(10点満点)、男性30代・40代と、女性20代が最も低く、都道府県別では大阪府、東京都、兵庫県で高め
 調査対象者に自身のヘルスリテラシーを自己評価してもらったところ、平均点は10点満点中5.0点となった。性年代別で見ると、男性は30代・40代が、女性は20代・30代が平均を下回り、特に女性は年齢が低いほど自己評価が低くなる傾向が見られた。
 また、都道府県別で点数の高かったのは、大阪府(5.5点)、東京都(5.4点)、兵庫県(5.3点)、低かったのは、島根県・岩手県(ともに4.8点)であった。

「自分は健康だと思う」人は半数以下の43.6%。男女ともに40代はより自信が持てない傾向に 東京都、香川県、大阪府以外の44道府県が、半数以下という結果に

 世界保健機関(WHO)は、健康を「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義している。この定義に対して自身の健康状態を当てはめてもらったところ、「健康だと思う(そう思う+ややそう思う計)」と回答した人は、半数以下の43.6%であった。
 性年代別で見ると、「健康だと思う」割合が低いのは男女ともに40代で、割合が高いのは、男性は20代、女性は60代であった。
 また、都道府県別で「健康だと思う」人の割合が高かったのは、東京都(53.2%)、香川県(51.6%)、大阪府(50.4%)でいずれも5割を超えているが、残りの44道府県は5割を下回った。

約半数の人が望む「健康寿命の延伸」、年齢とともに「寿命」よりも「健康寿命」の延伸を望むように

 WHOが提唱する健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義している。調査対象者に、寿命と健康寿命の延伸について尋ねたところ、「健康寿命を延ばしたい」と回答した人は約半数(47.1%)で、「寿命を延ばしたい」の回答割合(18.4%)と比較すると28.7ポイントの差があった。男女ともに年齢が上がるにつれ、「健康寿命」の延伸を望む人が増える傾向も見られた。
 なお、都道府県別では、「健康寿命の延伸」を望む人の割合が最も高かったのは長野県(56.0%)であった。

【情報収集・判断】

健康情報の正しさを判断できる人は約半数、女性20代~40代は判断力が収集力を20ポイント以上下回る

 調査対象者に、自身の体調や健康を管理するための「健康情報」の収集とその判断に対して自己評価をしてもらった。全体では「情報収集ができる(できる+少しはできる計)」と回答した割合は全体で68.7%であったのに対し、集めた健康情報が「正しい情報だと判断できる(できる+少しはできる計)」と回答した人の割合は52.6%となり、「情報判断力」が「情報収集力」を16.1ポイント下回った。
 性年代別で見ると、女性20代~40代はいずれも「情報収集力」に対し「情報判断力」への自己評価が20ポイント以上下回っている。
 都道府県別では、情報収集への自己評価が高かったのは大阪府と宮崎県(ともに74.0%)であった。また、情報判断への自己評価が高いのは東京都(60.4%)で、47都道府県の中で唯一の6割台、2位の宮城県(56.4%)に4ポイント差をつける結果となった。

 さらに、健康に関する情報について困っていることを尋ねたところ、「いろいろな意見があり判断しづらい(52.7%)」「正しい情報か間違った情報か判断基準がわからない(30.2%)」が上位2項目となった。この2項目を性年代別で見ると、いずれも女性の20代~50代の回答割合が高くなっている。

【行動】

不調を感じても約6割の人が「様子見」、特に女性は「様子見」傾向が強い

 「原因がはっきりしない不調を感じた時にどのような行動をとりますか?」という問いに対して、「様子を見る」と回答した人の割合は61.9%で、「医療機関を受診する」と回答した人は約3人に1人(34.1%)に留まった。
 特に、女性はいずれの年代も男性よりも「様子を見る」と回答した割合が高くなっている。都道府県別では、「様子を見る」と回答した人の割合が高かったのは秋田県(67.2%)、「医療機関を受診する」と回答した人の割合が高かったのは奈良県(40.0%)であった。

 日常生活で慢性的な痛みや苦痛を感じても 43.3 %が「我慢」。青森県は半数以上の 52.0%が我慢すると回答

 また、4割以上の生活者(43.3%)が、日常生活で慢性的な痛みや苦痛を感じても「できるだけ我慢する」と回答している。全ての年代で、男性よりも女性の方が「我慢する」と回答した割合が高くなっている。特に女性30代(48.9%)と女性50代(47.7%)はほぼ半数の人が「できるだけ我慢する」と回答している。
 都道府県別では、青森県で「できるだけ我慢する」と回答した人が多く、52.0%と唯一半数を超えています。一方「できるだけ我慢する」と回答した人が少なかったのは北海道の36.0%であった。

不調や違和感が生じた時、「適切な医療受診ができる」は64.9%、「症状を正しく伝えられる」は約7割

 「不調や違和感が生じた時に、その症状に応じて、適切なタイミングで医療施設・診療科を受診すること(=適切な医療受診)ができる」か、という問いに対して「できる(できる+少しはできる計)」と回答した割合は64.9%であった。
 また、「受診時に(医師に)自分の症状を正しく伝えることができる」か、という問いに「できる(できる+少しはできる計)」と回答した割合は、約7割(70.8%)であった。
 性年代別で見ると、両項目共に20代~40代の男性が低く、年齢とともに「できる」人の割合が高くなる。都道府県別では、「適切な医療受診ができる」と回答した人が多かったのは茨城県(71.2%)、熊本県(70.4%)で7割を超えているが、青森県は56.8%に留まり最も低くなった。また、「症状を正しく伝えることができる」は、東京都(77.6%)が最も高く、青森県(62.4%)が最も低くなっている。

【デジタル活用】

健康管理にデジタルツールを活用している割合は約3割、男女20代、男性60代が平均を上回る

 近年、健康状態を把握・管理するためのデジタルツールの活用が広がりを見せている。デジタルツール(スマートウォッチ、活動量計、スマートフォンの健康管理アプリなど)を使って健康状態を把握しているかを聞いたところ、3割以上(31.1%)の人が「使っている(いつも使っている+時々使っている計)」と回答した。
 性年代別で見ると、男女ともに20代で最も使用率が高くなっているが、男性は次いで男性60代(34.6%)が多く、女性20代とほぼ変わらない割合となった。
 都道府県別では、福岡県(40.4%)、東京都(40.0%)、大阪府(38.4%)の順に多く、大都市圏で利用の広がりが見られた。

健康管理にデジタルを活用することへの期待度は30代~60代の女性が高めの傾向に

 日常生活の健康管理において、デジタル化やデータ活用が広がることで期待できることを尋ねたところ、全ての年代で上位3項目が「自分の健康管理に役立つ」「病気の早期発見・早期治療が可能になる」「より適切な治療が受けられるようになる」となった。
 特に、女性30代~60代は「自分の健康管理に役立つ」の回答割合が高くなっており、男性の20代~50代が平均より低い傾向となった。

【コミュニケーション】
受診時の医療関係者との対話※に自信ありは33.9%。男性30代は20.6%と最も低い
 「受診の際に医療関係者(医師、看護師、薬剤師など)と対話ができる」かを尋ねたところ、「できる」と回答した割合は、約3割(33.9%)であった。
 性年代別で見ると、男女ともに60代が「できる」と回答した割合が高く、女性60代は55.0%に及ぶ。
 また、男女ともに年齢を重ねるほど「できる」と回答した人の割合が高くなる傾向が見られた。都道府県別では、東京都(40.4%)が最も高く、青森県(28.4%)が最も低くなっている。
 さらに、医療機関で受診する際の医師とのコミュニケーションにおいて自身に当てはまるものについて尋ねてみた。「医師と話す前に、医師と話すことや質問したいことを整理している」と回答した人は45.4%で、全年代で女性の方が高い回答になった。
 一方、「医師と話す時、緊張しないで話すことができる」では、全年代で男性が女性を上回る結果となった。
 「治療中や治療後の日常生活のQOLも踏まえて治療について自分の意志を伝えることができる」や「診察時に、自分の思いや価値観について話し合っている」の項目は、全体的に低い回答であったが、男女ともに60代の回答が高くなっている。

治療方針の決定に主体的に関与する意識を持っている人は約6割、特に女性は意識が高め

 治療法を検討する際の主体的関与に対する意識を尋ねたところ、「主体的に関与できる(できる+少しはできる計)」と回答した人は約6割(60.7%)であった。
 性年代別で見ると、各年代において男性よりも女性の方が「主体的に関与できる」と回答した割合が高く、男性20代を除いて、男女共に年齢を重ねるほど高くなる傾向にあった。
 都道府県別では奈良県(68.4%)、京都府(68.0%)で、「できる」と回答した人の割合が高く、島根県(54.0%)、鳥取県と愛媛県(ともに54.4%)で低い結果となった。

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