MSDは1日、抗PD-1抗体「キイトルーダ」について、切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫に対する化学療法との併用における適用追加申請を行ったと発表した。
今回の製造販売承認事項一部変更承認申請は、海外の多施設共同非盲検無作為化P2/3試験(KEYNOTE-483試験)および国内の単群多施設共同非盲検非無作為化P1b試験(KEYNOTE-A17試験)のデータに基づくもの。
悪性中皮腫は胸部、腹部、心臓、精巣など体の特定の部位を覆う膜に発生するがんである。肺あるいは胸腔を覆う膜に発生する悪性胸膜中皮腫は、悪性中皮腫の中で最も多く、80~90%弱を占める。悪性中皮腫発生の主な原因としてはアスベスト(石綿)の曝露が知られており、日本では、1950年代から70年代にかけての高度経済成長期にアスベストが大量に使用された。
アスベスト曝露開始から発症までの潜伏期間が25~50年とされていることから、日本における悪性中皮腫の発生ピークは2030年頃で、罹患者数は年間3000人に及ぶと予測される。
また、日本における悪性胸膜中皮腫を含む悪性中皮腫の年間死亡者数は増加傾向にあり、1995年には500人(男性356人、女性144人)であったが、2022年には1554人(男性1,295人、女性259人)となっている。
ほとんどの悪性胸膜中皮腫患者の予後は不良で、切除可能な段階で診断されるのは10~15%程度である。悪性胸膜中皮腫の治療における医療ニーズは依然として高く、新たな治療選択肢が必要とされている。