タグリッソ P3試験で肺がん患者の病勢進行・死亡リスクを低減 アストラゼネカ

 アストラゼネカは11日、タグリッソについて、P3相LAURA試験においてプラセボと比較して切除不能なステージIIIのEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者の病勢進行または死亡リスクを84%低減させたと発表した。
 エクソン19欠失型またはエクソン 21(L858R)点突然変異が確認された切除不能なステージIIIの上皮成長因子受容体遺伝子変異(EGFRm)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の患者において、化学放射線療法(CRT)後の治療としてプラセボと比較して、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したもの。
 これらの結果は、2024 年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表され、同時にThe New England Journal of Medicine 誌にも掲載された。
 盲検下での独立中央判定(BICR)で評価された試験結果では、タグリッソはプラセボと比較して病勢進行または死亡のリスクを 84%低減させた(ハザード比[HR]0.16;95%信頼区間[CI]0.10-0.24; p<0.001)。
 PFS中央値は、プラセボ群では5.6カ月であったのに対し、タグリッソ群では39.1 カ月であった。特筆すべきことに、性別、人種、EGFR 遺伝子変異の種類、年齢、喫煙歴、および CRT の順序など、事前に規定したすべてのサブグループにおいて、臨床的に意義のあるPFSの有益性が認められた。
 今回の解析時点での全生存期間(OS)のデータは、イベント数が不十分ではあったものの、タグリッソ群では良好な傾向が示された。同試験では副次評価項目である OS を引き続き評価する。
 安全性の結果および有害事象(AE)による投与中止率は予想通りであり、既知の安全性プロファイルと一貫していた。グレード3 以上のAEは、タグリッソ群の患者の35%に発生したのに対し、プラセボ群では12%であった。
 タグリッソは、米国、欧州、中国および日本を含む100カ国以上で単剤療法として承認されている。承認された適応には、局所進行または転移性EGFRm NSCLCの一次治療、局所進行または転移性 EGFR T790M 変異陽性 NSCLC、および早期 EGFRm NSCLC の補助療法が含まれる。
 タグリッソと化学療法の併用療法は、局所進行または転移性 EGFRm NSCLC 患者の一次治療薬として、米国および他の数カ国でも承認されている。

◆同試験治験責任医師の Suresh Ramalingam氏(米国アトランタのエモリー大学ウインシップがん研究所エグゼクティブディレクター)のコメント
 P3相LAURA試験から得られたPFSのすばらしい結果は、標的治療がないステージIIIのEGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんにとって画期的なものである。オシメルチニブは、病勢進行または死亡リスクを84%低減しており、これらのデータに基づき、患者さんにとって新たな標準治療になるはずである。

◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 タグリッソは、治癒の可能性があるこの疾患のPFS を3年以上延長し、患者さんを早期に検査・診断する必要性を裏付けた。治療プラクティスを変え得るこれらのデータは、タグリッソがEGFR遺伝子変異陽性肺がんの標準治療として、特に過去にCRT後に早期の進行を経験した患者さんの生活に強い影響を与える可能性を補強するものである。

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