ベーリンガーインゲルハイムは31日、バイオテクノロジー企業であるOSEとがんおよび心腎代謝疾患を対象とするファーストインクラスの治療薬開発に向けて提携を拡大したと発表した。
これにより、ファーストインクラスの治療薬の開発を目指す2件の新プロジェクトが、現在進行中の抗SIRPαがん免疫プログラムに追加される。
1件目は、すでに提携の対象となっているアセットの治療評価の範囲を広げ、より多くの患者への貢献を目指すもので、もう1件は、新規アセットの取得に関連するもの。詳細は、次の通り。
• 進行性固形がんを対象としたP1試験を実施中の抗SIRPαがん免疫化合物BI 765063 およびBI770371 に関する既存の提携およびライセンス契約の修正を反映し、今後は心腎代謝疾患に関しても開発を進める。
• アセットの取得により、OSEのcis標的1抗PD-1/サイトカインプラットフォームに基づく免疫細胞を活性化させる治療薬の開発を目指す新たな非臨床プログラムが開始される。
心腎代謝疾患は、世界で10億人以上の人々に影響を及ぼしており、毎年2000 万人がこれらの疾患により死亡している。心腎代謝疾患は、相互に関連し、併発し、影響し合うこともある疾患群で、患者さんの生活に大きな負担をもたらす。
また、がんにより、毎年1000万人近くが亡くなっており、多くのがん患者にとって、治療オプションは存在しないか限られている。
新たな開発プログラムは、ベーリンガーインゲルハイムのパイプラインを強化するものであり、心腎代謝疾患やがんなどにおけるアンメットニーズを満たすための新たな治療薬を模索し、進展させるという同社の揺るぎない取り組みを反映している。
この cis標的抗PD-1/サイトカインプラットフォームのアセットにより、ベーリンガーインゲルハイムの新規がん免疫調節薬候補がさらに充実する。
また、現在開発が進行中の抗SIRPα化合物の新規適応症に向けたP2試験が今年後半には開始される予定で、これが加われば、当社の包括的な心腎代謝パイプラインがさらに拡充する。
今回の提携強化により、OSEは、前払金として 1350 万ユーロ、および短期に達成される可能性のあるマイルストーンとして、非臨床開発段階にある新規 cis 標的抗 PD-1/サイトカインアセットの取得時に1750 万ユーロを受け取る。
現在進行中の2つの抗SIRPαプログラム(BI 765063 および BI 770371)に関し、両社は、2530万ユーロの一時金による部分的な特許買取に合意した。
さらに、ベーリンガーインゲルハイムには、今後の開発の過程で追加的な買取のオプションが付与され、これにより一時金と販売マイルストーンが発生する。その他、合意された開発、申請・承認、販売マイルストーンペイメント(最高 11億ユーロ)については、すべて、両社が合意した当初の契約に基づく。
◆Clive R. Woodベーリンガーインゲルハイムのコーポレート・シニア・バイスプレジデント兼創薬研究グローバル責任者のコメント
ファーストインクラスのT細胞に基づく抗がん剤に加え、ファーストインクラスの心腎代謝疾患治療薬候補のパイプラインを拡張することができ、大変嬉しく思う。
OSE との提携拡大は、世界の人々の健康にとって大きな脅威である2つの疾患領域において、患者さんのアウトカムを改善するという私たちに共通する使命を反映している。
◆Nicolas Poirier OSE CEOのコメント
今回、2 つの非常に革新的な開発プログラムがベーリンガーインゲルハイムとの有意義な提携に加わることを大変嬉しく思っている。私たちはベーリンガーインゲルハイムの研究者と共に、心腎代謝疾患やがんの患者さんに画期的な新規治療オプションをもたらす可能性のあるこの新しい開発プログラムに取り組むことを楽しみにしている。