バイエルは16日、ライフサイエンス企業のEvotec 社と、両社の戦略的提携の焦点を「循環器疾患の革新的なプレシジョン治療薬の開発」テーマに更新したと発表した。
同提携は、循環器疾患のプレシジョン治療薬のポートフォリオ構築を目標に、ヒトiPS細胞を用いた Evotec社の疾患モデリング技術を活用して新規標的を同定・検証することを目的としたもの。iPS 細胞の活用は、新規治療薬の開発に向けて、新たな疾患メカニズムや経路を特定するまたとない機会となる。
両社は同提携に基づき、革新的な治療選択肢の開発を目的として、創薬の標的と包括的で高品質な技術プラットフォームを提供する。バイエル社とEvotec社は、医薬品候補化合物の前臨床開発における責任を分担する。バイエル社はその後の臨床開発および商業化の責任を負う。なお、同提携の金銭的条件は開示していない。
◆ユルゲン・エックハルトドイツ・バイエル社医療用医薬品部門事業開発&ライセンシング責任者のコメント
今回の提携更新により、Evotec 社との長年にわたる協力関係が新たな段階へと進むことになり、過去12 年間の協力関係から得られた知識を生かすことができる。当社は必要としている患者さんのために革新的な治療薬を開発し、循環器疾患による大きな負担に取り組むことに引き続き全力を尽くしたい。
◆クリスチャン・ロンメルドイツ・バイエル社医療用医薬品部門研究開発責任者のコメント
循環器疾患は世界的に死亡原因のトップである。提携の焦点見直しにより、Evotec 社のiPS細胞ベースの工業化された疾患モデリングプラットフォームとバイエルの循環器領域におけるリーダーシップを活用し、アンメットメディカルニーズの高い循環器疾患に対する革新的な治療薬のポートフォリオ構築を推進する。
当社は、必要としている患者さんへ優れた治療ソリューションを提供することにより、標準治療を改善する可能性がある疾患領域に注力しており、今回の取り組みはそれを補完する。
◆コード・ドーマンEvotec 社最高科学責任者のコメント
疾病管理という枠を超えた治療パラダイムに転換するためには、循環器疾患の根底にある疾病に関連する分子メカニズムの理解を深めることが重要である。
当社のアプローチは、新規標的を同定し、候補薬剤の有効性と安全性をより包括的にプロファイリングする高度に検証された疾患モデルに基づいている。疾患関連メカニズムにより包括的に介入することで循環器疾患の大きなアンメットニーズに対応し、循環器疾患に関連性が強い、より効果的な疾患修飾療法の開発が可能になる。