ARDS治療薬「AV-001」開発状況 米国呼吸器学会呼吸器イノベーション・サミットの演題に選出 アンジェス

 アンジェスは16日、同社が米国でVasomune社と共同開発しているウイルス性肺炎及び細菌性肺炎を含む急性呼吸窮迫症候群(ARDS)治療薬「Tie2受容体アゴニスト(AV-001)」の開発状況が、5月17日~22日まで米国カリフォルニア州サンディエゴで開催される米国呼吸器学会における呼吸器イノベーション・サミットの演題に選出されたと発表した。
 呼吸器イノベーション・サミットでは、米国呼吸器学会主催による致死的かつ致命的な肺および気道疾患に対する最先端の治療法の開発について議論が展開される。
 Vasomune社は、血管機能障害に関連する疾患治療のための新規治療薬の臨床開発に注力するバイオ製薬企業で、AV-001は、Tie2 受容体を標的とするファースト・イン・クラスの完全合成PEG化ペプチドである。Tie2受容体の活性化は、特に肺腔内において、血管内皮バリアの維持と血管の安定性に重要な役割を果たしている。
 呼吸器イノベーション・サミットにおけるAV-001に関する演題は、5月18日午前11時30分(米国東部標準時)より、カリフォルニア州サンディエゴのマンチェスター・グランド・ハイアットで、Vasomune社の科学共同設立者であるHarold Kim氏(Dr.) が講演する。
 AV-001は、宿主血管反応(HVR)を標的とすることで、血管安定性の障害が原因となる様々な疾患への適応の可能性を秘めている。肺炎モデルでは、致死的インフルエンザモデルに対して感染後72時間までにAV-001を投与すると、ウイルス株(H3N2、H1N1、2009 年パンデミック H1N1 豚インフルエンザ)に依存することなく、血管から組織液の漏れを抑え、死亡率を低下することが示さした。
 さらに、AV-001は、HVR障害が関わる複数のモデルに対して効果が示されている。敗血症、虚血性脳卒中、急性腎障害、血管性痴呆のモデルに対して、血管からの漏出液の減少と生存率の改善が示されている。
 P1試験(NCT04737486)の結果、薬剤に関連した投与中止や死亡例はなく、予期せぬ重篤な有害反応(SUSAR)や注意すべき有害事象(AESI)も認められず、良好な安全性と忍容性が示された。AV001は現在、肺炎入院患者を対象としたP2試験(NCT05123755)を実施中である。
 呼吸器イノベーション・サミットでは、Vasomune社の十年にわたる研究を総括し、血管機能障害を伴う疾患の治療薬として臨床段階の候補であるAV-001を生み出した経緯について発表に含める予定である。

◆Harold Kim Vasomune社研究担当副社長氏のコメント
 米国呼吸器学会2024年会議の呼吸器イノベーション・サミットに招待いただき、私たちの研究成果を発表できることを大変嬉しく思う。当社の開発中新薬 AV-001は、P1試験で高い安全性が認められ、致死性インフルエンザ及び肺炎球菌肺炎の肺損傷モデルにおいて薬理効果を示し、現在P2相前期試験を実施中である。
 主催者の皆様には、私たちの研究を評価していただき、呼吸器領域における世界的な臨床、学術、産業のリーダーと接点が持てる機会を提供していただいたことに心から感謝したい。

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