ロケルマ ZORA研究で高カリウム血症治療における心腎疾患でのRAASi治療の維持向上を示唆 アストラゼネカ

 アストラゼネカは24日、ロケルマ(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)について、高カリウム血症の治療において心腎疾患患者のRAASi治療の維持向上の可能性を示す同社のリアルワールドエビデンスとなるZORA 多国間観察研究の結果を公表した。同試験結果は、2023年米国腎臓学会(ASN)でて発表されたもの。
 ロケルマ(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)は、カリウムイオンを減少させるとともに、持続的にコントロールすることができる高カリウム血症治療薬だ。同剤は、慢性血液透析患者(透析を行わない日のみ投与可)を含む成人の高カリウム血症治療を適応としており、米国、EU、日本をはじめとする50カ国以上で承認されている。
 同研究の解析から、高カリウム血症を治療し、症状を管理された患者は、管理されなかった患者に比べて、高カリウム血症の発症から6カ月後において、ガイドラインで推奨されているRAASi治療を維持できるオッズ比が約2.5倍となったことが示された
(OR 2.56;95% CI 1.92 – 3.41;P<0.0001)。
 なお、このオッズ比(95% confidence interval[CI])を国別にみると、米国、日本およびスペインでそれぞれ、2.02(1.65-2.46)、3.14(2.58-3.82)、2.83(1.46-5.46)であった。
 同研究における別の解析では、高カリウム血症発症後6カ月以内に慢性腎臓病ステージ5として診断あるいは透析開始と定義した末期腎不全(ESKD)への進行リスクは、RAASi 治療
が維持された患者と比較し、RAASi 治療が中止された患者では73%増加、RAASi の投与量が減量された患者では60%増加した。 これらの結果は、高カリウム血症発症による RAASi投与量の減量により、慢性腎臓病または心不全の患者における心腎イベントおよび死亡のリスクが増加することを示す過去のデータを補強するものである。
 国別にみると、高カリウム血症発症後に RAASi 治療を中止した患者におけるESKDへの進行リスクはRAASi治療を維持した場合と比べて、米国では74%増加、日本では70%増加していた。
 なお、米国(24.8%)に比べて日本の対象患者では慢性腎臓病ステージ4(62.6%)の割合が高かったという違いがあったが、同研究により示された RAASi 治療が中止された患者におけるESKDへの進行リスクは国によらず一貫していた。
 同RWE研究は、患者が RAASi 治療を継続して受けるために、高カリウム血症の管理におけるガイドライン遵守の向上が喫緊の課題であることを示している。

◆Anjay Rastogi UCLA Health腎臓内科主任(医学博士)のコメント
 高カリウム血症を積極的に管理すれば、ガイドラインで推奨されているRAASi治療を最適用量を維持でき、慢性腎臓病や心不全の患者さんの転帰を改善できることが、科学の進展により明らかになっている。
 だが、本研究は、臨床現場で高カリウム血症発症後の心腎疾患患者さんに実際に起きていること、また、RAASi の減量や中止により重大な結果がもたらされ、転帰の悪化と死亡率の増加につながりうることについて直視すべき実態を提示している。

◆Ruud Dobberアストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼バイオファーマビジネスユニット責任者のコメント
 今回のデータは、高カリウム血症が適切に管理されなければ、RAASi の減量または中止によって、心血管疾患や腎疾患の転帰が悪化したり、死亡率が増加したりする可能性があるという過去に発表したエビデンスをさらに裏付けるものである。
 ロケルマは、このように、高カリウム血症というしばしば緊急処置を要することのある疾病負荷に対応するための重要な治療戦略となる可能性がある。アストラゼネカは、ガイドラインで推奨されている RAASi 治療を実施できるよう、また、より強力な心腎保護効果を患者さんにお届けできるよう、引き続き医療従事者と協力していく。

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