アイテック阪急阪神の保険薬局向けレセコン Pharm-i (https://pharm-i.jp/)は、「サポート対応満足度90%」を誇り、顧客からの信頼も厚く、たくさんの医療現場で繁用されている。そこで、‟薬局に選ばれるレセコンであり続けるための秘訣”を、レセコンPharm-iの開発に長年携わってきた開発責任者の柿迫登氏(医療事業本部 第3ソリューション部 システム1課)と、真摯な対応で顧客からの評価が高いカスタマーサクセスチームの責任者の南敬子氏(医療事業本部 医療ソリューション営業部 カスタマーサクセス課)に、システム開発への思いや、ユーザーへの思い、また、これから実現したいことなど「Pharm-iへの想い」を聞いた。
-柿迫さんは長年Pharm-iの開発に携わっておられますが、当初から薬局の制度について詳しかったのでしょうか?
柿迫 いいえ、入社してしばらくは検査センター向けシステムや健診システムTOHMAS-iの開発に携わっていました。当時は医療制度についても詳しいというわけではなかったので、システムの開発をしつつ勉強していきました。
Pharm-iがリリースされたのが2002年頃ですが、そのころは紙のレセプトがメインの時代で、処理する数も少なかったのでパソコンやシステムがなくても業務ができていました。
その後、2006年度にオンライン請求の原則義務化が決まったことで、システムのベンダーが一気に増えました。新規で参入するベンダーもあり、競争が激しくなりましたが、保険薬局システムは参入より維持していくことが大変だと思っています。
南 確かにそうですね。レセコンは2年に1回の法改正に対応していくことが必須です。しかも以前は官報の発売日に冊子を買いに行って、それを読み込んで、改正内容の解釈をするところからのスタートでした。 それから、どのようなシステム改修が必要かをメンバーで出し合って実際にシステムに落とし込んでいき、開発、テストをしていきます。
3月上旬に官報で情報を得て、4月1日には稼働が出来ていないといけないというタイトなスケジュールでかなり苦労しました。
現在は、官報をインターネットで見られますし、2月の答申の段階で方向性が出るようになりました。以前よりは便利になりましたが、タイトなスケジュールに変わりはないですし、お客様の業務を止めるわけにはいかないのでリリースの際には毎回緊張します。
-全てのユーザーのアップデートを期日までに終わらせるのは大変ですね。
南 当初はフロッピーディスク数枚にプログラムを格納し、1社ずつ送付して対応していました。今は会員サイトからダウンロードができるようになったので、半分くらいのお客様はそこからアップデートしていただけています。お客様がうまく対応できない場合は普段よりサポート時間を延長してサポートをすることもありました。
柿迫 法改正については次回から6月のリリースとなりました。少し時間に余裕ができるのでこの期間でシミュレーションをするなど、よりお客様に安心して使っていただけるような有効活用を考えていきたいと思います。
-Pharm-iはどのようなシステムを目指していますか?
南 今後の法改正に必ず対応していくことは前提として、お客様と一緒に作り上げていくシステムだと常に思っています。お客様にご意見をたくさん言っていただいて、話し合いながら機能を作っていきます。その機能を別の薬局にもお使いいただいて評価していただくということを繰り返して、一緒によくなっていくシステムでありたいと思っています。
日々、営業やサポートが頂くご意見は常に開発チームに連携し、それを基に新しい機能を開発しています。
バージョンアップは毎日のように行っていて、改修や修正だけではなく、ご要望頂いた内容の反映や新機能もあり、常に新しい機能が追加されているので、お客様にはそこに期待していただきたいなと思いますし、一緒に積み重ねていきたいなと思います。
-自分が出した意見が実際にシステムに反映されるとユーザーに喜ばれるでしょうね。
南 そうですね。お客様にも喜ばれますし、サポートとしても本当に嬉しいです。
お客様も意見を伝えたら、いつかやってくれるという思いを持って意見を出してくださっているので、ひとつひとつを大事にしたいと思います。
-日々たくさんのご意見を頂く中で、どのように優先順位をつけるのでしょうか?
南 いろいろありますが、その機能をどれだけ多くの方が便利に思うか、また困っていることであればそのために患者様にまで迷惑がかかるかどうかが大きなポイントです。
お客様のお客様は患者様で、私たちも患者様になる立場と考えたら、患者様の目線で考えて、薬局が患者様に選ばれる存在であってほしいと思っています。
私たちはシステムを通して、その助けをしたいと思います。
柿迫 開発の視点で言うと、コスト等の考えもあるので、すべてが実現できるわけではないのですが、もっともだと思えるご意見については真摯に対応したいと思っています。
すぐ対応できるものばかりではなく、どうしても順番に対応ということにはなりますが(笑)
私たち開発チームは直接お客様の声を聞く機会はありませんが、サポートチームを通してお客様が喜んでいたなど、様子を聞くことができるのがモチベーションになります。
ただ、新機能よりもまずはシステムが不具合なく、当たり前に動くことが最も大切です。お客様の業務を止めることがないよう慎重に対応していきます。
-保険薬局システムについて今後どのようになっていくと思われますか?
南 近年、クラウド型のレセコンが各社からリリースされています。クラウドシステムにメリットは確かにありますが、ユーザーがリスクをどう考えていくかがポイントかなと思っています。レセコンは「繋がらない」ということが起きてはならないからです。レセコンは計算が発生するので回線が遅いというだけでも業務が止まってしまう可能性があります。
そうなると、薬局側のネットワークインフラやITリテラシーによってはトラブルが発生した際の対応が難しくなります。
現在インターネットをつないでいない薬局が3割ほど、まったく環境が無い薬局も少数いらっしゃって、「薬歴は在宅訪問などで使えるようにクラウドにしたいが、レセコンはまだ」というお声が多いのかなと思います。
-保険薬局でもITを活用した業務効率化が進んでいくのでしょうか。
柿迫 そこは国の方向性がどう進んでいくかかなと思いますね。
それにベンダー側が対応できるかどうかもあります。2年に1度の法改正に対応するだけでなく、近年では新型コロナ関連など煩雑な対応が必要になり、実際かなりのベンダーが撤退しています。もともと都道府県による医療制度の違い、もっというと市町村単位での違いが非常に多いため、技術力があっても企業としての体力がなければ維持していくことが難しいシステムではあります。
当社としてはこれからもお客様とともに薬局業務を支えるシステムの開発を続けていきたいと思っております。