疾患に関与する代謝物の探索や食品の新しい機能性探索に期待
NOSTER(本社:京都府向日市、代表取締役CEO:北尾浩平氏)は、腸内細菌由来の脂肪酸代謝産物の包括的解析に成功したことを明らかにした。同研究成果は、疾患に関与する代謝物の探索や、食品の新しい機能性探索への活用が期待される。
腸内細菌には宿主とは異なる脂質代謝経路が存在し、多価不飽和脂肪酸から、ヒドロキシ脂肪酸やオキソ脂肪酸、共役脂肪酸、トランス脂肪酸を生成する。これらの腸内細菌が作る脂質代謝物は、宿主の受容体を介してヒトの健康にもかかわる様々な生体調節機能を果たすことが注目されている。
同研究では、HYAをはじめとした多価不飽和脂肪酸代謝物45種類の標品を調製し、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を用いた標的リピドミクス法を開発した。
慶應義塾大学 薬学部の有田誠 教授、京都大学大学院 農学研究科の小川 順教授、岸野重信准教授らとの研究論文「Comprehensive analysis of fatty acid metabolites produced by gut microbiota using LC-MS/MS-based lipidomics」は、MMS優秀論文賞を受賞し、9月9日に愛知県産業労働センター ウインクあいちで開催された第48回日本医用マススペクトル学会年会で受賞講演した。
◆筆頭著者辻研究員のコメント
腸内細菌やその代謝産物を利用した創薬の実現に向けた研究の1つとして、腸内細菌由来脂質代謝物の解析を進めてきた。NOSTERでは、今回開発した解析方法を用いることにより、健常人の糞便や血液を対象とした解析を行い、腸内細菌が作り出す代謝物のNOSTER社独自のデータベースを構築している。
この解析手法とデータベースを用いたメタボローム解析はサービスとしての提供を開始しており、疾患に関与する代謝物の探索や食品の新しい機能性探索に役立てられる。