MSDは10日、キイトルーダと化学療法同時併用下で実施する外部照射による放射線治療(EBRT)とそれに続く小線源療法(同時化学放射線療法)の併用療法について、新たに高リスク局所進行子宮頸がんと診断された患者を対象とするP3試験(KEYNOTE-A18試験)において、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)の延長を達成したと発表した。
独立データモニタリング委員会による事前に規定された中間解析の結果、キイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法では、同時化学放射線療法単独と比較して統計学的に有意で臨床的に意味のあるPFSの改善が認められた。
同試験のもう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についてもキイトルーダと同時化学放射線療法の併用療法で、同時化学放射線療法単独と比較して良好な傾向が認められたが、OSのデータは同中間解析の時点で不完全であった。試験は現在も継続中で、OSのフォローアップを引き続き実施している。
同試験におけるキイトルーダの安全性プロファイルはこれまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。同結果は今後の関連学会で発表し、規制当局に提出していく。
なお、米国でキイトルーダは、子宮頸がんにおいて「FDAが承認する検査で腫瘍にPD-L1発現が認められる(CPS≧1)治療抵抗性、再発または転移性子宮頸がんに対する化学療法±ベバシズマブとの併用療法」と「FDAが承認する検査で腫瘍にPD-L1発現が認められ(CPS≧1)、化学療法による治療中または治療後に疾患が進行した再発または転移性子宮頸がんに対する単独療法」の2つの適応が承認されている。
◆Gursel AktanMSD研究開発本部クリニカルリサーチバイスプレジデント(博士)のコメント
キイトルーダは、治療抵抗性、再発または転移性子宮頸がんの一定の患者さんに対する適応がすでに確立されている。今回の結果は、より早期のがんに対してよりよいアウトカムが期待できる当社の研究の成果を裏付けるものである。 キイトルーダの本併用療法で、新たに高リスク局所進行子宮頸がんと診断された患者さんの無増悪生存期間が有意に改善されたことを心強く思う。
◆ENGOTの主要治験責任医師、同試験統括首席治験責任医師のDomenica Lorusso氏(Catholic University of Rome産婦人科学准教授)のコメント
高リスクの局所進行子宮頸がん患者さんの予後は不良であることが多く、半数以上の患者さんが2年以内に再発する。一方で、この20年間、本疾患の患者さんに対する新たな治療選択肢の進歩は、標準治療を除いては限定的であった。
今回の結果は非常に心強く、局所進行子宮頸がんに対するキイトルーダと標準療法である化学放射線療法の併用が、新たな治療選択肢のニーズに対応できることが示された。