塩野義製薬は25日、「長時間作用型注射剤カボテグラビル」について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)よりHIV感染予防(PrEP)における適応の承認勧告を受けたと発表した。
同社がグラクソスミスクラインおよびファイザーと資本参加するヴィーブ社が公表したもの。
今回の承認勧告の採択は、安全性と有効性を評価した2つの国際第2b/3相臨床試験であるHPTN083試験とHPTN084試験の良好な結果に基づいている。カボテグラビルはそれぞれの試験で、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(FTC/TDF)と比べて高い予防効果を示し、良好な結果を受けてデータ安全性モニタリング委員会から早期終了勧告を受けていた。
なお、CHMPの勧告を受け、今後、欧州委員会(EC)において予防を適応としたカボテグラビルの承認可否が判断される。
欧州では、毎年約10万人が新たにHIVと診断されており、予防投与の恩恵を受ける可能性がある人が多くいる一方で、既存の予防オプションは毎日服用が必要な経口剤のみであり、より利便性の高い新たな選択肢が求められている。
カボテグラビルは年間にわずか6回の投与で毎日服薬が必要なFTC/TDFと比べて高い予防効果を示すため、既に承認されている米国等の国々に続き、欧州においてもHIV感染予防に対する重要な選択肢になることが期待される。なお、同件が2024年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。