ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は18日、赤血球成熟促進薬「ルスパテルセプト」について、骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血の治療薬として日本国内で適応拡大申請を行ったと発表した。
ルスパテルセプトは、MDSに伴う貧血の治療における新規作用機序を有する治療薬で、2022年9月21日に希少疾病用医薬品に指定されている。
今回の承認申請は、国際予後判定システム改訂版(IPSS-R)によるリスク分類がVery low、lowまたはintermediateリスクのMDS患者を対象とした国内P2試験(MDS-003試験)、国際共同P3試験(COMMANDS試験)および海外P3試験(MEDALIST試験)結果にもとづくもの。
国内P2試験(MDS-003試験)は、IPSS-Rによるリスク分類がVery low、Low又はIntermediateの骨髄異形成症候群に伴う赤血球輸血を必要としない貧血を有する患者を対象とした単一群試験である。
主要評価項目は1~24週目までの期間の血液学的改善‐赤血球反応(HI-E)。
国際共同P3試験(COMMANDS試験)は、赤血球造血刺激因子製剤の治療歴のない、Very low、Low又はIntermediateの骨髄異形成症候群に伴う赤血球輸血が必要な貧血を有する患者を対象としたランダム化実薬対照オープンラベル試験。
主要評価項目は、1~24週目までの、Hgb 値の平均1.5 g/dL 以上の上昇を伴う12 週間(84 日間)以上の輸血非依存性(RBC-TI)。 海外P3試験(MEDALIST試験)は、赤血球造血刺激因子製剤の投与に対して不応、不耐容または不適格で、環状鉄芽球を有し、Very low、Low又はIntermediateの骨髄異形成症候群に伴う赤血球輸血が必要な貧血を有する患者を対象としたランダム化プラセボ対照二重盲検試である。
主要評価項目は、1~24週目までの期間の、8週間(連続56日間)以上のRBC-TI。
MDSは、正常な赤血球、白血球、血小板を十分に生成することができなくなることで、貧血や頻繁または重篤な感染症を起こす可能性のある、互いに密接に関連する一連の血液がんのグループである。
MDSの疾患の経過とともに約80%~90%の患者が貧血を発症する。貧血を呈するMDS患者の多くは、正常な赤血球の循環量を確保するために定期的に輸血が必要となるが、頻繁な輸血によって鉄過剰症、輸血反応、輸血血液からの感染など多くのリスクにさらされ、輸血の負荷が高くなると低リスクMDS患者の生存率を低下させる。
日本におけるMDSの罹患率は、人口10万人あたり、年間約3.0例と報告されており、厚生労働省による2020年の患者数調査では、日本のMDS患者の総数は約2万2000人と報告されている。
現在、MDSに伴う貧血に適応を有する薬剤は非常に限られており、既存治療と比較して、より有効性および利便性が高く、幅広い患者に使用可能な貧血治療薬が望まれている。
なお、ルスパテルセプト (製品名:Reblozy)は、本年4月時点で、β-サラセミアに伴う貧血の治療、または赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に不応もしくは不耐容または不適格で赤血球輸血が必要な低リスクの環状鉄芽球を伴う骨髄異形成症候群(MDS-RS)に伴う貧血の治療に対して、米国や欧州等の国で承認されている。
◆杉田真BMS研究開発本部長のコメント
これまで、MDSに伴う貧血の基本的な支持療法は輸血であった。また、国内ではMDSに伴う貧血の治療選択肢も限られていた。
今回、低リスクMDSに伴う貧血の治療薬として、ルスパテルセプトの承認申請を提出できたことを大変嬉しく思う。ルスパテルセプトが、低リスクMDS患者さんにとって、有効な新しい治療選択肢となることを願っている。