武田薬品は11日、Webによる2023年3月期決算説明会を開催し、クリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOが、「売上収益と利益の成長がマネージメントガイダンス達成、または上回り、売上収益は武田薬品史上初めて4兆円を突破した」と述べ、力強い業績達成を強調した。
2023年3月期業績は、売上収益4兆0274億7800万円(前期比12.8%増)、営業利益4905億0500万円(6.4%増)、税引前利益3750億9000万円(24.0%増)、当期利益3170億1700万円となった。
Core売上収益は4兆0275億円で、恒常為替レート(CER)ベースで+3.5%成長した。業績を牽引したのは、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」(7027億円、前年比34.7%増)やADHD治療薬「ビバンセ」(4593億円、同40.4%増)などの成長製品及び新製品で、CERベースで19%成長し、売上収益全体の40%を占めた。
コア営業利益も同社史上初の1兆円超えとなる1兆1884億円を達成し、CERベースで9.1%成長した。コアEPSは558円で、CERベースで13.9%の成長となった。
ウェバー氏は、2022年度におけるパイプラインの重要なマイルストーンとして、「デング熱ワクチンQDENGAの初承認」、「TAK-755(血栓性血小板減少性紫斑病)とfazirsiran(アンチトリプシン欠乏症による肝疾患)の良好な後期臨床試験データの読み出し」、「免疫介在性疾患における米ニンバス・セラピューティクスからのTAK-279の取得」を挙げ、「革新的なパイプラインが進展した」と強調した。
負債削減の継続的な進捗状況についても言及し、「レバレッジは2.6倍にまで下がっている」と力説。さらに、「第4四半期に30億ドルでTAK279を取得した影響を除くと、レバレッジは2.3倍になる」と力説。その上で、「この数字は、シャイアー買収後に重要な財務指標として設定したレバレッジ2倍台前半という目標に達している」と説明した。
同レバレッジ達成により、「成長と株主還元のための投資という新たなフェーズに軸足を移すことができる」と言い切った。2023年度は、一株当たり年間配当金188円への増配を予定している。
2024年3月期の業績予想は、売上収益3兆8400億円(4.7%減)、営業利益3490億円(28.8%減)、税引前利益1850億円(50.7%減)。米国での「ビバンセ」、国内の高血圧症治療薬「アジルバ」の特許切れによる後発品の参入や、新型コロナワクチンの需要減などの影響により減収・減益を見込んでいる。
同業績予想についてウェバー氏は、「一時的な向かい風を受ける見通しにあるが、成長製品・新製品の力強い勢いが近い将来、成長への回帰を促進すると自信を深めている」と断言。さらに、「コア営業利益は1兆円超えを維持する見込みで、研究開発、データとテクノロジーへの投資を通じて、長期的な競争力を強化し続けていきたい」と抱負を述べた。