アッヴィは7日、非小細胞肺がん治療薬として開発中の抗体-薬物複合体(ADC)telisotuzumab vedotinについて、厚労省より「先駆的医薬品指定制度」の対象品目に指定されたと発表した。
「先駆的医薬品指定制度」は、最先端の治療薬を日本で早期に患者に届けることを目的に創設されたもの。「治療薬の画期性」、「対象疾患の重篤性」、「対象疾患に係る極めて高い有効性」に加え、「世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制(同時申請も含む。)」が指定要件となっており。その対象品目に指定されれば、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いを受けることができる。
肺がん治療は、進歩しているものの依然として世界のがん関連死亡の主要な原因である。2020年には、全世界で新たに220万人が肺がんと診断され、全世界のがん患者さんの約11%を占めており、日本では年間約12万7000人が新たに肺がんと診断されている。
世界的には、肺がん患者の約85%が非小細胞肺がんに分類される。非小細胞肺がん患者の多くが、診断時に局所進行や転移性病変が認められ、化学療法、分子標的療法、がん免疫療法等が治療選択肢となるが、これらの治療後に進行が認められた場合の治療選択肢は限られている。
telisotuzumab vedotinは、がん細胞表面で発現する、肝細胞増殖因子の細胞表面受容体であるc-Metを特異的な標的とする抗体-薬物複合体(ADC)である。c-Metの過剰発現は、生命予後の不良と関連する可能性があるものの、c-Met過剰発現を標的とした治療法は現時点で確立されていない。
同先駆的医薬品指定制度の指定を機に、アッヴィでは肺がん患者への新たな治療選択肢の提供に向けて、より一層取り組みを強化する。