エーザイは16日、バイオジェンと共同開発した「レカネマブ」について、日本においても早期アルツハイマー病で新薬承認申請したと発表した。適応症はは、脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症(総称して早期AD)。
今回の申請は、レカネマブ投与による早期ADの臨床症状の悪化抑制を実証したP3相Clarity AD試験、PⅡb試験(201試験)に基づくもの。また、同申請に先立ち、審査期間の短縮をめざして医薬品事前評価相談制度を活用している。
Clarity AD試験において、レカネマブは、主要評価項目である全般臨床症状(CDR-SB2:Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)について、投与後6カ月以降すべての評価時点において統計学的に高度に有意な悪化抑制を示した。
また、全ての重要な副次評価項目においても統計学的に高度に有意な結果が認められた。特に、アミロイドPET評価では、レカネマブ投与後3カ月からすべての評価時点で、統計学的に有意な脳内アミロイド蓄積の減少がみられ、ADCS MCI-ADL3を指標とする日常生活動作低下の抑制も示された。
安全性評価として、レカネマブ投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒であった。
同試験の結果は、2022年11月に第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表し、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineにも掲載された。
レカネマブは、米国において、本年1月6日に米国FDAよりAD治療薬として迅速承認を取得し、同日、フル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)が提出された。
欧州でも、2023年1月9日に欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請(MAA)を提出した。中国においては、2022年12月に中国の国家薬品監督管理局(NMPA)にBLAのデータ提出を開始した。
レカネマブについては、エーザイが開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。