‟くすりの町道修町”の少彦名神社(大阪市中央区)では、境内に表示灯が開発した神社ナビタを設置し、昨年末より運用を開始している。神社ナビタの設置は、日本医薬総鎮守である少彦名神社による「道修町薬種中買仲間300年記念」の一環として、多様化する参拝者へ正しい神社知識の啓発、さらなる利便性の向上を目的としたもの。
今回の神社ナビタ設置の契機となった「道修町薬種中買仲間」は、享保7年(1722 年)に124軒の薬種業者が株仲間として江戸幕府から公認を受けたことに由来する。日本医薬総鎮守である少彦名神社が鎮座する道修町は、「くすりの町」として著名で、約400社にのぼる薬業関係企業で構成されている薬祖講による行事「神農祭(大阪市無形文化財)」など、町・地域と関係企業による町ぐるみの活動が現在でも受け継がれている。
神社ナビタは、昨年12月26日、道修町の歴史の要である少彦名神社に設置され、翌27日には別所賢一宮司による修祓式が執り行われた。参道に設置された「少彦名神社ナビタ」は、誰でも気軽に利用できる。行事などで混雑が予想される際には、設置場所を調整できるように足元は可動式とされ、年末年始の参拝客の人流の動線確保などにもフレキシブルに対応できるよう、神社による配慮がなされている。
神社ナビタは、主にタッチ式のデジタルサイネージと電照式の地図面等で構成されている。デジタルサイネージ部分では、多様化する参拝者に少彦名神社の由緒や神徳、境内等の案内、正しい参拝方法などを日本語と英語で伝えるコンテンツを装備。
電照式の地図・総合案内板は、少彦名神社の協賛事業者の表示および周辺事業者案内等を発信する表示灯オリジナルの告知媒体となっている。
総合案内板には、信仰と崇敬を寄せる医薬品製造業の協賛企業による絵馬型広告が多数表示されており、日本医薬総鎮守に寄せられる篤い信仰を今に伝えている。
◆宮司別所賢一少彦名神社宮司のメッセージ
薬種中買仲間300年の節目の年であることや関西・大阪で開催される2025年日本国際博覧会を控える中、コロナ禍にあっても大阪を盛り上げ、船場地区、道修町も元気づける施策を模索していた際にナビタ設置のお話があった。
デジタルサイネージの設置は新しい取り組みであるが、神社の伝統を守るためにも、蕉風俳諧にある「不易流行(本質を忘れない中にも、変化を重ねているものをも取り入れて変化を重ねていく“流行”こそが、不易、不変の本質であること)」の心持ちであると捉えている。
少彦名神社では、江戸末期に大坂でコレラが流行した際に「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」が施薬され収束に向かったという歴史やご神徳がある。今回の神社ナビタの設置が、少彦名神社のご神徳を現代でお伝えする機会となり、新年のご参拝にいらっしゃる皆様の無病息災に広くお役立ていただけますことを願っている。