“スマート和食”の継続摂取で内臓脂肪が減少   花王が試験結果発表

スマート和食の例

 花王は24日、内臓脂肪をためにくい栄養バランスを取り入れた「スマート和食」の継続摂取により内臓脂肪が減少した試験結果を発表した。
 同試験結果は、花王ヘルスケア食品研究所・生物科学研究所と、京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室などのグループが、花王が開発した食事法“スマート和食”と内臓脂肪の関係を検討したもの。
 スマート和食とは、内臓脂肪をためにくい栄養バランスを取り入れた食事法で、「脂質を減らしてたんぱく質を増やす」、「糖質を摂るなら食物繊維を一緒に」、「脂質を摂るとるならオメガ3」を基本とする。
 その結果、肥満~肥満気味の男性では、「スマート和食」の継続摂取により内臓脂肪の減少を確認。また、食事後のGIPの分泌抑制がそのメカニズムとして考えられる示唆を得ている。同研究内容はNutrition Journalに掲載された。また、米国糖尿病学会(本年6月7日~11日、サンフランシスコ)でも発表している。
 近年、様々な研究によって、内臓脂肪の過度な蓄積が生活習慣病の原因となることが明らかになり、メタボリックシンドロームの診断基準にもなっている。
 花王は、長年にわたり健康寿命をの延伸に貢献するため内臓脂肪についての研究を重ね、腹部の電気抵抗で内臓脂肪を測定する技術を開発した。同技術を採用した内臓脂肪計を活用して1万人以上の内臓脂肪を測り、同時に食事や生活習慣の意識・実態調査を実施している。
 これらのデータから、2014年に内臓脂肪が少ない人の食事の特徴を反映した食事法「スマート和食」が開発された。
 今回の「スマート和食」の内臓脂肪への影響とそのメカニズム検討の対象者は、 肥満~肥満気味の男性21人(平均年齢41才、平均BMI 25.2kg/m2)。
 ◆試験1では、 対象者をランダムに2つのグループに分けて「スマート和食」またはコントロール食を摂取、摂取開始から1、2週間後に内臓脂肪面積、体格、血液中の成分を測定した。
 具体的なプロトコールは、「1日3食×2週間「スマート和食」を継続→4週間あける→1日3食×2週間コントロール食を継続」したものと、「1日3食×2週間コントロール食を継続→4週間あける→1日3食×2週間「スマート和食」を継続」に二分される。
 ◆試験2では、「スマート和食」またはコントロール食を摂取後、0分、30分、60分、120分、180分、240分に採血して血液中の成分を測定した。

図、「スマート和食」継続による内臓脂肪の減少


 その結果、試験1では、「スマート和食」を継続すると、コントロール食を継続した場合と比べて、内臓脂肪が大幅に減少することが確認された(図)。また、値が高いと生活習慣病のリスクが高いとされるLDLコレステロール、中性脂肪、HbA1cも減少した。
 これらの現象から、肥満~肥満気味の男性では、「スマート和食」の継続は内臓脂肪や生活習慣病のリスクを低減することが判明した。
 一方、試験2では、「スマート和食」はコントロール食との比較で、食後の血液中のGIPの濃度が低いという結果を得た。これにより、「スマート和食」の継続で内臓脂肪が減少するメカニズムとして、食後のGIPの分泌抑制が示唆された。

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