MSDは13日、経口新型コロナ治療薬ラゲブリオについて、P3相MOVe-OUT試験の追加データにおいて、事前設定された探索的評価項目に基づき、同剤を投与した患者はプラセボ投与患者に比べて急性期治療のための来院の割合が低く、事後解析では呼吸療法(侵襲的人工呼吸管理など)が必要な患者がより少ない結果が得られたと発表した。
MOVe-OUT試験は、軽症から中等症の入院していない重症化リスクのある新型コロナ感染症成人患者を対象としたもので、同試験結果は、Annals of Internal Medicineに掲載された。
MOVe-OUT試験では、事前に設定された探索的評価項目の解析において、modified intent-to-treat(MITT)解析対象集団においてラゲブリオを投与した患者では急性期治療のための来院または新型コロナウイルス感染症関連の急性期治療のための来院の割合がMITT解析対象集団でプラセボを投与した患者と比べて低くなった。
29日目までにおける急性期治療のための来院の割合はラゲブリオ群では7.2%、プラセボ群では10.6%で、相対リスク減少率(RRR: relative risk reduction)は32.1%(CI*: 4.4%〜51.7%)であった。
新型コロナウイルス感染症関連の急性期治療のための来院の割合は、ラゲブリオ群では6.6%、プラセボ群では10.0%で、RRRは33.8%(CI: 5.6%〜53.6%)であった。
MITT解析対象集団は、無作為に割り付け、治験薬を1回以上投与し、1回目の投与の前に入院していなかったすべての被験者であった。
事後解析では、MITT解析対象集団においてラゲブリオを投与した被験者のうち呼吸療法(従来の酸素療法、高流量加温加湿器、非侵襲的人工呼吸管理、侵襲的人工呼吸管理など)が必要となった患者は、プラセボ群より少なく、呼吸療法全体でRRRは34.3%(95% CI: 4.3%〜54.9%)であった。
さらに、追加の事後解析では、安全性解析対象集団においてラゲブリオを投与した被験者は、プラセボを投与した被験者より速やかで大幅なC反応性蛋白(CRP)の平均値の低下が認められ、ベースライン時からの酸素飽和度(SpO2)の変化の平均値もより速やかで大幅な改善が見られた。
安全性解析対象集団は、無作為に割り付け、ラゲブリオを1回以上投与した全被験者である。
また事後解析では、MOVe-OUT試験で無作為に割り付けられた後に入院した被験者のサブグループにおける退院までの時間の中央値は、ラゲブリオ群では9日(CI: 7〜12日)、プラセボ群では12日(CI: 9〜14日)となった。
MITT解析対象集団のデータと同様に、事後解析でも無作為割り付け後に入院し呼吸療法が必要となった被験者は、ラゲブリオ群でプラセボ群より少なく、呼吸療法全体におけるRRRは21.3%(95% CI: 0.2%〜38.0%)であった。
なお、ラゲブリオは、MOVe-OUT試験のほかに、曝露後予防として、家庭内における新型コロナウイルスの拡大を防止する効果と安全性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同P3試験のMOVe-AHEADも実施されている。
◆ディーン・リーMerck & Co., Inc., Rahway, N.J., USA研究開発本部プレジデントのコメント
このたびの解析は、当社が把握しているラゲブリオの臨床プロファイルに加わるもので、ラゲブリオが新型コロナウイルス感染症の流行の対策として重要な役割を果たすことを改めて示すものである。
◆ウェンディ・ホルマンRidgeback Biotherapeutics最高経営責任者のコメント
MOVe-OUT試験の主なデータでは、入院していない高リスク患者さんにおいて、入院や死亡など重症化のリスクをプラセボと比較して有意に低下させることが示されている。
新型コロナウイルス感染症が引き続き負担となっている中、この新たなデータを心強く感じている。引き続きラゲブリオを評価し、新型コロナウイルス感染症との戦いにおいて、世界中の高リスク患者さんや圧迫されている医療制度に貢献したいと考えている。