製品評価技術基盤機構(NITE、東京都)と国立遺伝学研究所(静岡県)は27日、バイオテクノロジー分野における包括的な連携協定を本年4月1日に締結し、5月19日に締結式を行ったことを明らかにした。
今回の提携により、9万株を超える微生物を保有し、微生物の持つ様々な情報を一元化した生物資源データプラットフォーム「DBRP」を提供するNITEと、ゲノム解析の中核拠点としてゲノム研究及びマイクロバイオーム研究の共同利用・共同研究を進める遺伝研が、双方の強みを融合し、微生物を使用したバイオテクノロジーによるものづくりの研究開発とその実用化を支援する。
遺伝子情報の解読にかかるコスト低下と時間短縮、ゲノム編集技術の発展やAI・ロボット工学などの技術革新により、微生物の優れた機能や特性を人工的に設計・構築・活用する研究は、近年目覚ましい発展を遂げている。
こうした中、国家戦略である「バイオ戦略」が掲げる持続可能な循環型社会の実現に向けて、微生物を効率的に培養する技術やスマートセルを作製する技術というバイオものづくりに関連する研究及び技術開発の促進が必要不可欠となっている。
これらの技術が産業で積極的に活用されるには、微生物のゲノムデータとその他の生物学的な情報、さらには法令上の利用条件などとも紐付けされた、効率的に活用できる環境整備が重要となる。
NITEは、9万株を超える微生物を保存・提供するとともに、生物資源データプラットフォーム「DBRP」を構築・公開することで、微生物とその関連情報の利活用を促進している。
一方、遺伝研は、国際塩基配列データベース「INSD-DDBJ」を始め、微生物統合データベース「MicrobeDB.jp」、微生物ゲノムアノテーションシステム「DFAST」など、微生物研究に資するデータベースや解析ツールを開発・運用している。
同協定の締結により、両者の強みを生かして、微生物をはじめとする生物資源やその関連データにアクセスしやすい環境整備を整備する。
また、令和4年度に設置するROISバイオデータ研究拠点(BSI)とも強力に連携し、データサイエンスからもたらされる新たな知識の提供などを通じて、微生物を利用した研究開発や産業化の加速を支援するものだ。
加えて、NITEと遺伝研はともに、生物多様性条約 に基づいた遺伝資源の適切な利用に関する活動も行っており、両者が有する知識や経験を合わせることで日本の研究開発を加速していく。