CICSとステラファーマは7日、悪性黒色腫と血管肉腫を対象に、CICSが開発したリチウムターゲットを用いた加速器中性子捕捉治療装置「CICS-1」、及びステラファーマが開発したホウ素中性子捕捉療法(BNCT)用ホウ素薬剤「SPM-011」を用いたBNCTのP1試験を11月より国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院で開始すると発表した。
BNCTは、がん細胞に特異的に取り込まれるホウ素(10B)化合物を投与し、体外から中性子を照射することでホウ素と中性子が反応して生じるα線とLi原子核によってがん細胞を選択的に破壊する治療法。原子炉中性子源を用いて1951年に米国で実施後、日本では1968年から臨床研究が行われてきた。
CICSは、国立がん研究センターと共同研究契約を締結し、2014年の中央病院診療棟の完成とともに加速器型の中性子捕捉治療装置を導入してこれまで非臨床試験を行ってきた。
BNCTのP1試験は、加速器中性子捕捉治療装置「CICS-1」とホウ素薬剤「SPM-011」を用いたBNCTの安全性及び忍容性を検討することを目的としたもの。
試験対象は、皮膚がんの一種である悪性黒色腫と血管肉腫の患者で、病理組織学的診断において、皮膚原発でありリンパ節転移や遠隔転移がない患者が対象となる。
悪性黒色腫及び血管肉腫の治療は、症状や進行の程度に応じて、外科的手術、薬物治療、放射線治療などが行われる。一般的に優先されるのは外科的手術によってがんを切除する方法だが、広範囲の切除は患者の大きな負担となるため、現在でもより治療効果を高め、副作用を軽減して患者負担を軽減する治療法を確立するための研究が推進されている。