maribavir 臓器移植でのサイトメガロウイルス感染症治療を予定に希少疾病用医薬品指定取得 武田薬品

 武田薬品は31日、pUL97キナーゼ阻害剤「maribavir(TAK-620)」について、臓器移植のサイトメガロウイルス感染症治療を予定した希少疾病用医薬品の指定を厚労大臣より取得したと発表した。
 予定する効能・効果は、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)におけるサイトメガロウイルス(CMV)感染症治療。
 CMV感染症は、移植後の患者に最もよくみられる感染症の一つで、移植後に感染または再活性化すると、移植臓器の喪失や移植不全などの深刻な状態になる可能性がある疾患である。
 maribavirは、pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV化合物で、日本国内においてサイトメガロウイルス感染/感染症を対象としたP3試験を進行している。
 CMVは、ヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスで、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがある。通常、体内に潜伏し、無症候性だが、免疫抑制期間中に再活性化する場合がある。
 免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現するケースがあり、こうした人には造血幹細胞移植(HSCT)や固形臓器移植(SOT)を始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者も含まれる。
 世界における1年あたり推定20万件の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HSCTの患者さんで30~70%である。
 移植後の患者でCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至る場合もある。
 移植後のCMV感染に対する既存の治療法は、用量調節を必要とすることや、ウイルスの複製を十分に抑制できない可能性がある。さらに、既存の治療法では、投与のために入院を要することや入院が長期化することがある。
 maribavirは、pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する経口投与可能な最初で唯一の抗CMV化合物。移植後の成人患者と小児患者(12歳以上で体重が35㎏以上)における既存の抗ウイルス療法であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、cidofovir(国内未承認)またはホスカルネットに対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症治療薬として米国において製品名「LIVTENCITYTM」として承認されており、欧州委員会からは、細胞性免疫障害を有する患者のCMV感染症の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けている。

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