MSDは14日、1日1回経口投与のプロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤「エンリシチド」について、日本で高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症の治療薬として製造販売承認申請を行ったと発表した。
脂質異常症の一種であり、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の高値を特徴とする高コレステロール血症は、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患(ASCVD)の主要な危険因子である。
ASCVDは、患者本人およびその家族に、身体的・精神的・経済的な負担をもたらし、患者と家族の人生を変え得る疾患だ。
日本では心筋梗塞などの虚血性心疾患患者が約144万人、脳梗塞患者は約131万人を数える。従って、脳卒中・循環器病対策基本法においても、循環器病の予防を推進し、健康寿命の延伸や医療・介護に係る負担の軽減を図ることの重要性が示されている。
ASCVDは進行性の疾患であるが、その中でもLDL-CはASCVDの発症・再発にかかわる特に重要かつ修正可能なリスク因子である。LDL-C高値の状態が長期間続くほど、心筋梗塞や脳梗塞などのASCVDを発症するリスクは高くなる。
高コレステロール血症の治療では、生活習慣の改善のほか、スタチンを第一選択にした標準的薬物療法が推奨されており、LDL-Cの管理を早期に開始し継続することが、ASCVDの発症リスクの低減につながることが示されている。
だが、高コレステロール血症の治療においては、治療目標が達成されていないにもかかわらず、治療の開始・強化・変更が適切に行われていない「Clinical Inertia(クリニカル イナーシャ)」が課題として指摘されており、既存の薬物療法では、診療ガイドラインで推奨されているLDL-Cの管理目標を達成できていない患者が多く存在する。
また、現在日本で使用されているPCSK9阻害剤には強力なLDL-C低下作用があるが、いずれも注射剤で、患者の利便性や治療継続性(アドヒアランス)の向上に加え、治療へのアクセス向上の観点からもさらなる治療選択肢が求められている。
今回の申請は、高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)の成人患者を対象に、エンリシチドの有効性および安全性を評価した国際共同P3試験CORALreef Lipids試験などの良好な結果に基づいている。
CORALreef Lipids試験では、スタチンを含む安定した脂質低下療法を受けているまたはスタチン不耐(副作用などによりスタチンを継続できない状態)が記録されている患者を対象に、エンリシチドの有効性および安全性を評価した。
その結果、エンリシチド20mgの1日1回経口投与は、24週時においてLDL-C値をプラセボと比較して約60%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。また、安全性プロファイルはプラセボと同様であった。
