オムロン ヘルスケアは2日、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(研究責任者Gregory M.Marcus教授)と共同で、高血圧診療における心房細動の早期診断モデルを構築するための臨床試験を開始したと発表した。
同社の「心房細動の可能性」を検出する家庭用血圧計を活用し、高血圧診療プロセスにおいて心房細動を早期診断できる新たな診断モデルを確立する「OMRON-AF試験」を開始したもの。
同研究は、高血圧治療において普及している家庭での血圧測定に、「心房細動の可能性」を検出できる当社のアルゴリズム「Intellisense AFib」搭載の家庭用血圧計を活用し、同社の健康管理アプリ「OMRON Connect」使用者を対象に完全オンラインで実施する遠隔臨床研究だ。
心房細動の発症リスクが高いといわれている60歳以上の高血圧患者を対象に行い、心不全や脳梗塞の原因となる心房細動の早期診断を、新たな医療リソースや患者の負担を増やすことなく既存の高血圧診療プロセスに組み込むモデルを構築する。既存の高血圧治療プロセスに組み込むことで、新たな診断モデルのスムーズな社会実装につながるものと期待される。
心房細動は、心不全や脳梗塞の要因といわれている危険な不整脈だ。高血圧や加齢と深く関連することが知られている。心房細動患者の49 ~90%が高血圧を合併し、有病率は60代以降で急増する。
また、心房細動患者の約4割は自覚症状がないとされており、気づかないまま重症化するケースもある。高齢の高血圧患者に対して、症状の有無に関わらず日常生活の中で早期発見できる仕組みが必要である。
近年、臨床試験により、スマートウォッチや貼り付け型心電計などのウェアラブル機器により心房細動の早期診断が可能であることがわかってきた。一方で、心房細動の発症リスクが高い、高齢の高血圧患者においては、スマートフォン操作やデジタル機器の使用に個人差があるため広く普及するためには課題もある。
同研究は、60歳以上の高血圧患者約1900人を対象に実施する。心房細動の可能性を検出する血圧計を使用する群と、検出機能がない通常の血圧計を使用する群の2群に分け、毎日家庭で血圧を測定する。「心房細動の可能性」が検出された場合、対象者に貼り付け型心電計を郵送して、心房細動の確定診断を実施する。
両群を比較することで、心房細動の可能性を検出する血圧計を日常の血圧測定に用いることが、心房細動の早期診断にどの程度寄与するかを検証する。高血圧患者に普及している家庭用血圧計で心房細動の可能性を確認し、検出された場合にのみ貼り付け型心電計を使用することで、医療現場と患者の負担を低減できる効率的な診断モデルが確立できると考えられる。
また、心房細動患者は心不全による死亡・入院リスク が最も高いことに着目し、「心房細動の可能性」が検出された際に心不全の検査(NT-proBNP検査)を実施する。家庭での血圧測定による「心房細動の可能性」検出を起点として、心不全発症リスクを低減できる可能性を検証する。
さらに、心房細動の重症度や予後を予測する指標である「AFバーデン」(心房細動発作の累積時間)に着目した解析も行う。貼り付け型心電計で測定するAFバーデンと、家庭用血圧計で記録される心房細動の発作頻度との関連を評価し、心房細動の診断後に家庭用血圧計による発作頻度モニタリングの有用性を明らかにする。


