ノバルティス ファーマは3日、「ゾルゲンスマ」(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)について、2歳以上の脊髄性筋萎縮症(SMA)を対象に国内製造販売承認を取得したと発表した。
対象は、2歳以上の脊髄性筋萎縮症、ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る。今回の承認取得は、主に2~18歳未満の未治療のSMA患者を対象とした海外P3試験(STEER試験/B12301試験)、2~18歳未満の既治療のSMA患者を対象にゾルゲンスマ髄注に切替えた国際共同P3試験(STRENGTH試験/B12302試験)の有効性及び安全性のデータに基づくもの。
いずれの試験においても、運動機能の改善/維持効果が認められ、死亡に至った有害事象は認められなかった。ゾルゲンスマは2歳以上のSMAにおける国内初の遺伝子治療薬として、アンメットニーズを抱えるSMA患者さんにとって新たな治療選択肢となることが期待される。
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、脊髄の運動ニューロンの病変によって起こる神経筋疾患で、呼吸、摂食、歩行などの身体活動に使われる筋肉に影響を与える進行性の疾患である。
遺伝性の指定難病である疾患で、筋肉を制御する神経機能に不可欠なタンパク質を生成するSMN(運動神経細胞生存)f遺伝子の欠失や変異が主な原因とされている。2024年度の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は943例であった。
これまでSMAに対して有効な治療法は無かったが、2017年以降、複数の治療薬の登場や新生児スクリーニング検査の実施により、SMAは治療可能な疾患となった。一方2歳以上の小児、成人にとっては、運動機能をはじめとして、呼吸機能、嚥下機能の改善/維持に対するアンメットニーズが依然として存在している。
実際に患者や家族からは、「腕がもう少し上がれば自分で服を着られ家族の負担を減らせる」や「指がもう少しスムーズに動けばコミュニケーションが取りやすくなる」など、日常生活の動作ひとつひとつに関わる切実な声も寄せられている。なお、SMN1遺伝子そのものに作用する治療選択肢は、特に2歳以上の患者ではこれまで存在していなかった。
ゾルゲンスマは、SMAの原因遺伝子であるSMNタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれた遺伝子治療用ベクター製品(野生型のアデノ随伴ウイルス9型[AAV9]を利用した遺伝子治療用ベクター製品)である。SMAの根本原因であるSMN1遺伝子の機能欠損を補って運動ニューロンのSMNタンパク質発現量を増加させ、脊髄運動ニューロンの変性・消失を防ぎ、神経及び筋肉の機能を高め、筋萎縮を防ぐことで、SMA患者の生命予後及び運動機能の改善/維持が見込まれる。
日本でゾルゲンスマは、2020年3月に2歳未満の「脊髄性筋萎縮症、ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る」に対する製造販売承認を取得している。
◆ジョンポール・プリシーノ ノバルティス ファーマ代表取締役社長のコメント
今回のゾルゲンスマが国内で承認されたことは、2歳以上のSMA患者さんに新たな治療選択肢をお届けする重要な一歩である。
現在、治療選択肢が限られている患者さんに対して、アンメットニーズに応える革新的な治療を提供できることを大変嬉しく思う。ノバルティスは、患者さんと家族、医療従事者の皆さんと共に、SMAと向き合う日々を支えるため、革新的な治療の提供と適正使用の推進に引き続き尽力していく。

