2030年代半ば目処に「新規マルチステージマラリアワクチン」開発 住友ファーマと愛媛大学が共同研究開始

 住友ファーマは20日、愛媛大学との新規マルチステージマラリアワクチン共同研究開始についての説明会を開催し、高島英造愛媛大学先端研究院プロテオサイエンスセンター教授が、同社と愛媛大学が開発を進める「新規マルチステージマラリアワクチン」の有用性について解説。「新規クチンはマラリア感染阻止ワクチンとマラリア発病阻止ワクチンを混合したもので、現行のワクチンより有効性の高い70%以上の効果を期待している」と訴求した。
 また、福島晃久住友ファーマワクチン事業担当シニアオフィサーは、「1日でも早くマラリア感染で困っている人々にワクチンを供給するため、必要に応じて他社との連携も考えたい。2030年代半ばを目処に薬事承認を目指す」と抱負を述べた。
 なお、新規マルチステージマラリアワクチンの開発は、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)からの助成を受けて推進される。助成金は201億円。
 マラリアは熱帯地域で流⾏しており、流⾏国80、患者2.8億人/年、死者61万人/年に上る(World Malaria Report 2025)。95%はサハラ以南で、感染者の75%は5歳以下である。日本では、輸入マラリア感染者が30人/年を数える。
 近年、マラリア感染による死者は減少しているものの、新型コロナパンデミックでのマラリア対策の大きな後退と、治療薬耐性マラリアと殺虫剤耐性蚊の世界的拡大が相まって患者数は増加傾向にあり、早期発見、早期治療と予防がさらに重要となっている。

愛媛大学との新規マルチステージマラリアワクチン共同研究説明会より

 マラリアの予防・撲滅の切り札は“マラリアワクチン”であるが、第一世代マラリア感染阻止ワクチンRTS,S及びR21は「30~70%の小児の重症化を抑制する」とされており、効果は不⼗分だ。
 マラリアワクチンの作用メカニズムは、①感染阻止ワクチン(PfCSP)、②発病阻止ワクチン(PfRipr5)、③伝搬阻止ワクチンーの3つに分かれる。①は、蚊からヒトへのマラリア感染を防ぎ、感染を予防(RTS,S およびR21)する。②は、ヒト血液内の赤血球期マラリアの増殖を防ぎ、重症者・死亡者を減少させる。③は、ヒトから蚊へのマラリア感染を防ぎマラリア保有蚊愛媛大学との新規マルチステージマラリアワクチン共同研究を撲滅させる。
 今回、住友ファーマと愛媛大学が開発を推進するのは、感染阻止ワクチンと発病阻止ワクチンを混合した「熱帯熱マラリアマルチステージワクチン」だ。新規ワクチンの開発手法は、AP205ナノ粒⼦プラットフォームを用いた感染阻止ワクチンおよび発病阻止ワクチンの個別有効性、両者の混合投与による有効性を検討して両者抗原を単一粒⼦上に発現させる。その単一粒子に、住友ファーマが有する新規アジュバント(TLR7 アジュバント:DSP-0546E)を加えてワクチン効果を高め持続させるというもの。
 福島氏は、「住友ファーマのアジュバント技術プラットフォームは、スミフェロンなどのインターフェロン研究で⾒出した独⾃技術で、 強い免疫反応増強作用、高い安全性が特徴である」と胸を張る。このアジュバントは、パンデミックに備えたワクチン開発を⽀援する国際的な官⺠連携組織の「感染症流⾏対策イノベーション連合、CEPI)のアジュバントライブラリーにも選出されている。住友ファーマでは、同アジュバントをマラリアワクチン(前臨床)、ユニバーサルインフルエンザワクチン(P1試験)に応用して開発を進めている。
 住友ファーマと愛媛大学は、「新規マルチステージマラリアワクチン開発プロジェクト」を成功させることでグローバルヘルスへの貢献を目指す。

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