ベーリンガーインゲルハイムは16日、腎疾患治療薬「アペコトレプ」(BI 764198)について、腎疾患におけるP2試験において蛋白尿の減少を達成したと発表した。
アペコトレプは、一次性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)患者向け経口投与のファーストインクラス候補の非免疫抑制TRPC6阻害薬で、今回、12週間にわたり評価するP2試験結果を公表したもの。
同試験において、アペコトレプ20mg投与群では、プラセボと比較して、腎臓損傷に関連する主要指標である蛋白尿が40%減少した。同結果はLancet誌に掲載され、米国腎臓学会議(ASN)2025で発表された。P3試験(NCT07220083)については、一次性FSGSの成人患者と青年期患者を募集中である。他の蛋白尿腎疾患においてapecotrepの安全性と有効性を評価する追加のP2試験(NCT07355296)は、今年の第1四半期に開始予定である。
一次性FSGSは、最終的に腎機能障害につながる希少な進行性腎疾患である。その重症度と患者の負担にもかかわらず、現時点で承認済みの標的療法はない。この疾病の根本原因に対処する標的療法への大きなアンメットニーズがある。
一次性FSGSでは、一過性受容器電位カチオンチャネルサブファミリー6(TRPC6)が腎臓のろ過システムを担う細胞であるポドサイト(足細胞)を過度に活性化させると考えられている。これにより過剰なカルシウムが細胞に流入し、足細胞の進行性の損傷と喪失が起こり、最終的に蛋白尿と腎疾患の進行につながる。
アペコトレプは、ポドサイト(足細胞)を保護して蛋白尿を減少させることで、疾病の進行遅延を目的とする。
同剤は、広範な腎疾患におけるアンメットメディカルニーズに対処するベーリンガーの取り組みを示すものだ。この取り組みには、現時点で承認された疾患修飾療法が存在しない一次性腎臓疾患が含まれている。
アペコトレプは、一次性FSGSの新たな治療オプションとしての可能性を見出すとともに、中国国家薬品監督管理局の薬品審査評価センター(CDE)によるブレークスルーセラピー指定を取得。欧州医薬品庁(EMA)および厚生労働省より希少疾病用医薬品の対象品目に指定されている。
◆治験責任医師のHoward Trachtman氏(ミシガン大学)のコメント
一次性FSGSは重篤な糸球体疾患であり、小児と成人の腎機能障害の重大な原因となる。一次性FSGSの根本的な機序を標的とすることで、アペコトレプは成人患者において良好な忍容性プロファイルを示しつつ、プラセボと比較して40%の蛋白尿を減少させた。
このような臨床的に価値のある結果により、アンメットニーズの高い一次性FSGSのファーストインクラス候補の標的治療薬としての可能性を調査することが重要であることが明らかになった。
◆パオラ・カサロッサベーリンガーインゲルハイムイノベーションユニット担当取締役のコメント
今回のP2試験結果は、腎臓の健康におけるベーリンガーの科学的リーダーシップだけでなく、FSGSのような希少な腎臓症状を含め、心・腎・代謝疾患の患者さんに対する献身的な取り組みを示すものである。
現在進行中のP3試験において当社は、一次性FSGSの初の疾患修飾療法の開発を実現し、患者さんのために標準療法を変えることを目指して、アペコトレプの治験を進めている。

