
乾英夫大阪府薬剤師会会長は、今年一年を振り返り、「2025年大阪府薬‟10大ニュース”」を次の通り公表した。
(1)大阪・関西万博が成功裏に終了
(2)本田顕子参議院議員の再選
(3)薬機法改正
(4)要指導医薬品のカテゴリー新設
(5)地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト作成
(6)大阪府の地域災害薬事コーディネーター誕生
(7)大阪府薬剤師会の薬剤師生涯研修認定制度が承認取得
(8)物価高騰賃金上昇による薬局経営の逼迫
(9)医薬品安定供給問題未解決
(10)大阪府下の地域フォーミュラリー取り組みが5地域に
(1)の大阪・関西万博は、「“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに半年間開催され、10月13日に大盛況の内に幕を閉じた。
乾氏は、「大阪府薬としては表立って会場での活動は無かったが、地域の薬局・薬剤師は当会が作成した“薬局店頭における外国人対応マニュアル”を活用してしっかりと対応してくれた」と賛辞を送った。
(2)の第27回参議院選挙比例区で2期目の当選を果たした本田あきこ氏については、「熱い戦いを制した。オール薬剤師、オール薬業の底力を示せた」と強調。さらに、「本田議員は、参議院の厚生労働委員会委員長に就任した。神谷まさゆき参議院と二人で薬剤師の代表として頑張ってほしい」と要望した。
(3)薬機法の改正は、「薬局機能の強化を掲げているが、その中に調剤外部委託も入った。本当に薬剤師の対人業務の強化に繋がるかしっかりと検証してほしい」とコメントしている。
(4)では、緊急避妊薬のスイッチOTC化が承認された。来年2月2日から第一三共ヘルスケアより日本初となるOTC緊急避妊薬「ノルレボ」が販売される。
乾氏は、「同薬の発売までに、大阪府内において取り扱いできる薬局と産婦人科医等との名簿交換を急ぎ、困っている女性を地域の掛かり付け薬局として対応できるように尽力する」と訴求した。
(5)「地域薬局機能の把握とリスト化」、「夜間・休日対応体制の整備とリスト化」、「地域の備蓄薬局リストの整備」などを推進する2025年度地域医薬品提供体制構築推進事業については、「厚労省の委託事業でもあり、医薬分業のメリットをしっかりと示すポイントになる事業と認識している」と断言する。
(6)11月29日に開催された「地域災害薬事コーディネーター説明会」終了後に92名の地域災害薬事コーディネーターが大阪府から委嘱された。加えて、残りの36名も年内にビデオ研修を行い、大阪府では、総勢128名の地域災害薬事コーディネーター+従来の大阪府災害薬事コーディネーター4名体制が整う。
(7)大阪府薬剤師会の薬剤師生涯研修認定制度が9月12日付けで薬剤師認定制度認証機構の認証を受けた。同制度は、来春までを目処としているe-ラーニングなどのシステム化の準備ができ次第スタートする。
(8)光熱費を始めとする物価高騰の中、公定価格で運営している保険薬局では価格転嫁ができないため、約3割の薬局が赤字に転落している。2年に1度の2026年度改定では、人件費に回る本体部分について3.09%引き上げる方針が固められたが、他産業に負けない賃上げ等が実施できる診療報酬引き上げが切望される。
(9)医療現場では、未だ後発品を始めとする医薬品不足は解消されていない中、「2025年度後発医薬品を含む医療用医薬品の流通及び対応状況に関する調査」が11月21日から12月12日まで実施された。同調査は、2021年から開始しており、今回で5回目となる。
(10)大阪府下の地域フォームラリー取り組み地域は、従来の八尾市、大阪市天王寺区、高槻市に、堺市と守口市が加わり5地域となった。乾氏は、「これらの地域で作成された医薬品集を参考に、この取り組みが大阪府下全域に広がってほしい」と抱負を述べた。
