rusfertide P3試験52週間データで好結果 武田薬品

 武田薬品は8日、rusfertideについて、真性多血症(PV)を対象としたP3相VERIFY試験の新たな52週間結果において持続的なコントロールを示したと発表した。
 rusfertideは、武田薬品がProtagonist Therapeutics社と開発・商業化に関する全世界でのライセンス及び提携契約を締結したもので、米国FDAからブレークスルーセラピー指定、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定およびファストトラック指定を受けている。
 VERIFY試験の52週間の結果では、瀉血を要しない持続的なヘマトクリット値のコントロールと奏効が確認され、新たな安全性の問題は観察されなかった。これらのデータは、VERIFY試験における32週間の良好な主要解析結果に基づき、主要評価項目および4つの主要な副次評価項目を達成した。
 32週時点でプラセボからrusfertideに切り替えた患者は、当初からrusfertideに無作為に割り付けられた患者さんと同様の奏効率を示し、40~52週の間に77.9%が臨床的奏功を達成した。また、REVIVE試験と長期延長のTHRIVE試験を統合した4年間の結果では、ベースラインと比較して年間瀉血率が13分の1に減少した。
 これらの試験結果は、rusfertideの有効性と安全性をさらに裏付けるものであり、奏効の持続性を示しており、第67回米国血液学会(ASH)年次総会・展示会において口頭発表された。
 rusfertideを継続投与された患者のうち61.9%が、ベースラインから52週まで臨床的奏功(瀉血を要しない)を維持した。
 PVの治療目標は、血栓症を予防し、症状を緩和するため、ヘマトクリット値(HCT)を45%未満に維持することである。だが、多くの患者は現在の標準治療を受けても、ヘマトクリット値のコントロールができない状況や負担の大きい症状を経験している。
 VERIFY試験は、標準治療を受けているにもかかわらず制御不能なヘマトクリットにより瀉血依存の患者におけるrusfertideの有効性と安全性を評価するよう設計され、以前報告された32週間の主要解析で主要評価項目および4つの主要な副次評価項目を達成した。
 VERIFY試験のパート1a(0~32週)では、293人の患者がrusfertide(147人)またはプラセボ(146人)を現在の標準治療に追加して投与されるよう無作為化された。パート1b(32~52週)では、すべての参加者がオープンラベルでrusfertideを投与され、奏効の持続性が評価された。274人(94%)がパート1bに進み、267人(91%)が52週まで試験に残り、254人がパート2(52~156週)でrusfertideの投与を継続した。52週時点の主な結果は次の通り。

【瀉血適応性(Phlebotomy Eligibility)】

・rusfertideと現在の標準治療を併用し、試験のパート1aおよび1bを通じて治療を受けた患者の61.9%が、臨床的奏功(瀉血を要しない)を維持した。

・パート1a評価期間(20~32週)で臨床的奏功を示したrusfertide投与患者さんの84.1%は、奏功を維持した。

・32週でプラセボからrusfertideに切り替えた患者さんの77.9%は、パート1b評価期間(40~52週)で臨床的奏功を示した。

・プラセボ群における最初の瀉血までの中央値は16週であった。一方、rusfertide群(パート1aおよび1b)や、プラセボからrusfertideに切り替えた群(パート1b)では、中央値に到達しなかった。

【ヘマトクリット(HCT)コントロール】

・rusfertideをパート1aおよび1bで継続投与された患者、またはパート1bでプラセボからrusfertideに切り替えた患者では、52週まで平均ヘマトクリット値は43%未満を維持した。

・パート1aにおけるプラセボ群のヘマトクリット値が初めて45%以上に達するまでの中央値は8.3週であったが、rusfertide群ではパート1aおよび1bを通じて中央値に到達しなかった。

【QOLに関する評価項目】

・rusfertideをパート1aおよび1bで投与された患者は、PROMIS Fatigue SF-8aおよびMFSAF TSS7で測定された患者報告アウトカムの改善を維持した。

 rusfertideは52週間の治療を通じて概ね良好な忍容性が確認された。rusfertide投与患者で治療に伴う最も一般的な有害事象(AE)は、局所注射部位反応(47.4%)、貧血(25.6%)、疲労(19.6%)で、主にグレード1または2であった。
 重篤な有害事象はrusfertide投与患者全体の8.1%に発生した。 52週のVERIFYデータにおけるrusfertideの奏効の持続性と安全性プロファイルは、REVIVE試験から長期延長のTHRIVE試験に移行した46名の患者の4年間の解析によってさらに裏付けられている。
 結果として、THRIVE試験に移行後、rusfertideを細胞減少療法の有無にかかわらず継続投与した場合、一貫した長期的なヘマトクリット値のコントロールが示され、REVIVE試験開始前のベースラインと比較して年間瀉血率が13分の1に減少した。
 THRIVE試験に移行した46名の患者におけるREVIVE試験開始前の年間瀉血率の平均は9.2回/年であったが、THRIVE試験期間中の平均は0.7回/年であった。
 rusfertideの安全性プロファイルは従来の観察結果と一致していた。

◆VERIFY試験主任研究者のAndrewT.KuykendallMoffitt氏(Cancer Center血液専門医、M.D.)のコメント
 52週間のデータは、rusfertideの持続的な有効性を示し、ヘマトクリット値を維持しながら患者さんの瀉血の必要性を減らした。32週間のVERIFY試験の主要結果はすでに有望であったが、rusfertideによる奏効の持続性をより深く理解することは、真性多血症の臨床判断にとって極めて重要である。
 THRIVE試験の長期延長データを含むこれらの結果は、rusfertideがPV患者さんにとって新たな標準治療として加わる可能性を再確認するものである。

◆Arturo Molina Protagonist Therapeutics社最高医療責任者(M.D., M.S.)のコメント
 これらのデータ全体は、rusfertideの真性多血症における安全性プロファイルが良好であること、瀉血を要しないことによって定義された持続的なヘマトクリット値のコントロールと臨床的奏効を提供できる可能性をさらに示している。
 また、PV患者さんの治療選択肢を拡げ、生活に前向きな影響をもたらす可能性を示唆している。武田薬品との協働により、米国FDAへの製造販売承認申請の準備を進めることを期待している。

◆Phuong Khanh武田薬品Oncology Therapeutic Area Unit Headのコメント
 現在利用可能な治療選択肢でヘマトクリット値を十分にコントロールできない場合、PV患者さんは血栓症の重大なリスクに直面する。我々はPV患者さんに変化をもたらすことに尽力している。ASHで発表されたVERIFY試験と長期延長のTHRIVE試験の包括的なデータは、rusfertideが持続的な奏効を示し、この慢性がんの管理における重要なアンメットニーズに対応する可能性を強く示している。Protagonist Therapeutics社との協働により、rusfertideを規制当局による承認に向けて前進させ、PV患者さんのケア改善に一歩近づけることを期待している。

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