
大阪府薬剤師会は3日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が2日に行われた来年度予算の編成に向けてまとめられた政府の「財政制度等審議会」の意見書について言及。
「地域の薬剤師にとって毎回厳しい意見を貰っている」とした上で「小規模で門前に乱立している薬局に、高い点数評価をするのはおかしいという意見が出された」と紹介した。
さらに、11月28日の中医協総会でも、調剤基本報酬を巡り「処方箋集中率が高くても枚数が一定水準以下なら調剤基本料1(45点)を算定できる現行の施設基準が、門前薬局の小規模乱立を招いている」との意見があったことにも触れ、「こういった小規模薬局も、しっかりと地域医療に貢献しているところがたくさんある。本当にそうなのかを、我々としてもしっかりとデータを示していかねばならない」と語気を強めた。
また、11月29日に開催された「地域災害薬事コーディネーター説明会」については、「終了後には92名の地域災害薬事コーディネーターが大阪府から委嘱された」と報告。加えて、「残りの36名も年内にビデオ研修を行い、大阪府では、総勢128名の地域災害薬事コーディネーター+従来の大阪府災害薬事コーディネーター4名体制が整う」見通しを示した。
緊急避妊薬のOTC販売では、「来年2月から販売を開始する。それまでに大阪府内の取り扱いできる薬局と産婦人科医等との名簿交換を急ぎ、困っている女性を地域の掛かり付け薬局として対応できるように尽力したい」と述べた。
2026年度調剤報酬改定に向けた11月28日の中医協総会では、「処方箋集中率が高く調剤基本料1を算定している薬局」が論点の一つとなった。問題点として、「処方箋集中率が高い薬局ほど備蓄品目数が少なく、より低コストで後発医薬品体制加算3を算定している」、「薬剤師数の少ない小規模薬局が多く存在し、“小規模乱立”の促進が懸念される」、「特別区にあり処方箋受付回数毎月600回超、集中率85%以上で、調剤基本料1を算定している薬局は、地域支援体制加算等の届け出が少ない」などを提起。
「門前薬局増加や、薬局による医療モール経営の拡大」等対する強い危惧が示され、「処方箋受け付け回数にかかわらず処方箋の集中率が高い薬局を調剤基本料1から除外する」方向性も論議された。
これに対し乾氏は、「調剤基本料1については、色々な意見があった。だが、こういった薬局も、その多くが掛かり付け薬局、医薬品の供給拠点として地域医療に貢献している。集中率も、先に薬局があってその後に医療機関ができたケースもある」と指摘した。その上で「我々も、医療現場で患者のための活動をできていることを示すデータを示し、しっかりと意見を述べて行きたい」と訴求した。
乾氏は、「中医協 調剤その2」で、“都市部以外”での地域支援体制加算が論議されたことについても、「都市部は都市部なりに人件費等で地方に比べて上がっている」と明言。さらに、「対人業務、掛かり付け業務など薬剤師として同じ業務をしているにも拘わらず、都市部は調剤報酬が高く、経営効率が良いのではないかと議論されるのは現場としては許されない」と力説し、「まずは国がしっかりと報酬等を担保した上で、あらためて議論していくべきだと思う」との考えを示した。
