東京都立産業技術研究センター(都産技研)は、ベックスと共同研究により、国産ゲノム編集技術UCAY(Universal CRNA-guided GE AssemblY)の編集効率を向上するための「ガイドRNAのデザインツール」を作成した。

国産ゲノム編集技術UCAYは、既存技術では困難な遺伝子領域に対しても編集できる特徴を有する。だが、UCAYには編集箇所を特定するためのRNA(ガイドRNA)配列のデザインツールが存在せず、これまでそのデザインは経験豊富な研究者の職人技に頼っていた。
こうした中、両者は、バイオインフォマティクス技術を活用して、編集効率のよいガイドRNA候補を定量的に予測できるガイドRNAデザインツールの開発に成功した。
同ツールは、二次構造を考慮して編集効率の高いガイドRNA候補を提示することで、ゲノム編集実験の低コスト化を実現できるのが大きなポイントである。同成果は、12月3~5日まで、パシフィコ横浜で開催される第48回日本分子生物学会で発表される。
既存のゲノム編集技術は海外のものを含む複雑なライセンス体系のため、産業利用が困難な状況にあった。UCAYは国産のゲノム編集技術であり、ライセンシングが容易である。さらに、リピート領域など既存ゲノム編集技術では編集が困難な領域もターゲットにできる。このような理由から育種などへの産業応用が期待される。
