WINREVAIR 米FDAからPAHによる入院、肺移植、死亡のイベントリスク低下を対象とする適応拡大承認取得 MSD

 MSDは17日、WINREVAIR(ソタテルセプト)について、米国FDAから肺動脈性肺高血圧症(PAH)成人患者における臨床的悪化のイベント項目として、PAHによる入院、肺移植、死亡のイベントリスク低下を対象とする適応拡大承認を取得したと発表した。今回の承認は、P3相ZENITH試験に基くもの。
 ZENITH試験により、アクチビンシグナル伝達阻害剤のWINREVAIRは、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の成人患者の運動耐容能を向上させ、WHO機能分類(FC)を改善し、PAHによる入院、肺移植、死亡の臨床的悪化イベントのリスクを低下させることが確認された。なお、WINREVAIRはSTELLAR試験に基づき2024年3月に初めて承認されている。
 ZENITH試験(N=172、WINREVAIR群86名、プラセボ群86名)では、WINREVAIRをバックグラウンド治療に追加することで、WHO機能分類IIIまたはIVのPAHの成人患者におけるPAHによる入院、肺移植、死亡の臨床的悪化イベントのリスクがプラセボと比較して76%低下し、統計学的に有意で臨床的に意味のある改善が認められた(HR: 0.24; 95% CI: 0.13, 0.43; p<0.0001)。
 この試験の有効性の複合主要評価項目のイベントは、全死亡、肺移植またはPAH悪化に関連する24時間以上の入院が発現するまでの時間で、WINREVAIR群では15名(17%)、プラセボ群では47名(55%)に発現した。
 主要評価項目の結果において顕著な有効性が示されたため、ZENITH試験は中間解析の時点で早期終了となり、患者は非盲検の長期フォローアップ試験を通してWINREVAIRの投与を受ける機会が提供された。
 ZENITH試験で高い頻度で認められた副作用(WINREVAIR群の10%以上に発生、かつ、プラセボ群より少なくとも5%以上高い事象に基づく)は、感染症(WINREVAIR群67.4%vsプラセボ群44.2%)、鼻出血(45.3% vs 9.3%)、下痢(25.6% vs 17.4%)、毛細血管拡張症(25.6% vs 3.5%)、ヘモグロビン値増加(15.1% vs 1.2%)、発疹(10.5% vs 4.7%)、紅斑(10.5% vs 3.5%)、歯肉出血(10.5% vs 2.3%)であった。
 曝露期間の中央値はWINREVAIR群(435日)がプラセボ群(268日)より長くなった。有害事象による治験薬の投与中止は、WINREVAIR群では1例(1%)、プラセボ群では4例(5%)であった。
 日本でWINREVAIRは、エアウィンの製品名で、「肺動脈性肺高血圧症」に対する効能・効果で承認を取得している。

◆肺高血圧症プログラム責任者のヴァレリー・マクラフリン氏(University of Michigan in Ann Arbor循環器内科Kim A Eagle MD寄附基金教授)のコメント
 PAH患者さんは、従来の治療を可能な限り実施しても、入院、移植、死亡といった重篤なイベントのリスクが依然として許容できない高い水準にある。ZENITH試験の結果はこれまでに蓄積されたデータを補強し、WINREVAIRが標準治療となり得る可能性を裏付けるものである。

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