2025年度地域医薬品提供体制構築推進事業 理解深めて地域で推進を 大阪府薬乾会長

乾氏

 大阪府薬剤師会は5日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が10月13日に閉幕した大阪関西万博について「“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに半年間開催されて大盛況の内に幕を閉じた。大阪府薬としては表立って会場での活動は無かったが、地域の薬局・薬剤師が当会の作成した“薬局店頭における外国人対応マニュアル”を活用してしっかりと対応してくれた」と振り返った。
 10月12・13日に開催された第58回日薬学術大会にも触れ、「8500人を超える薬剤師が全国から集まった。非常に内容の濃い大会となり、私も大いに勉強させて頂いた」とその成果を強調した。
 「地域薬局機能の把握とリスト化」、「夜間・休日対応体制の整備とリスト化」、「地域の備蓄薬局リストの整備」などを推進する2025年度地域医薬品提供体制構築推進事業については、「厚労省の委託事業でもあり、医薬分業のメリットをしっかりと示すポイントになる事業と認識している」と断言。
 その上で、「各地域でのこの活動の推進が重要である。改めて事業の趣旨を十分理解して頂いて、全ての薬局・薬剤師の活動となるように結びつけたい」と強調し、「今年度事業なのでスケジュールは非常にタイトであるが、我々も安心して取り組んで頂けるようにアシストしたい」と強い決意を示した。
 乾氏は、11月29日に開催される「地域災害薬事コーディネーター説明会」にも言及し、「大阪市46人、大阪府下79人の受講者が参加し、説明会終了後には大阪府から地域災害薬事コーディネーターとして任命を受ける」と明かした。
 地域医薬品提供体制構築推進事業は、非会員薬局も含めた全ての薬局による地域医薬品提供体制の構築を目的としている。薬局機能および夜間・休日体制などのリスト化や地域医薬品提供体制連絡協議会の運営に掛かる費用は、公平に分担し、その応分を非会員薬局から徴収する仕組みになっている。とはいえ、「非会員と一緒にこの事業を推進することを憂慮する」地域の会員薬局・薬剤師の存在も少なくない。
 乾氏は、「患者さんや医療機関は、薬局が大阪府薬の会員であるか否かは関係ない」と言い切り、「大阪府下の56地域の薬剤師会はそれぞれ環境や会員構成も異なるが、これを入会して貰うチャンスとして捉えれば、その懸念も無くなる。それぞれの地域の状況を鑑みた上で、この事業を進めてほしい」と強く要望した。
 なお、大阪府下の保険薬局4600軒の内、大阪府薬の会員薬局は3600軒強、非会員薬局は1000軒弱を数える。
 一方、現在、大阪府の災害薬事コーディネーターは4名存在する。それを各地域で増やすため、地域薬剤師会では2名以上の候補者を「地域災害薬事コーディネーター説明会」に参加させて、受講後に大阪府から同コーディネーターの任命を受ける構図になっている。
 当日は、大阪府薬務課による「大阪府における災害時薬事体制整備」をテーマとした「災害薬事コーディネーターに期待されること」、「災害時における市町村や保健所の活動」、「多職種連携」等についての講演が実施される。
 また、宮田憲一副会長らが、「地域における災害医療提供体制、必要な状況把握と調整活動」、「災害時における初動対応と市町村や保健所等のサポート」に関する講演を行う。同説明会終了後には、大阪市内46人、大阪府下79人の合計125名の地域災害薬事コーディネーターが誕生する予定だ。
 定例会見では、「2025年度後発医薬品を含む医療用医薬品の流通及び対応状況に関する調査」が11月21日から12月12日まで実施されることも報告された。
 同調査は、2021年から開始しており、今回で5回目となる。医療現場では、未だ後発品を始めとする医薬品不足は解消されておらず、調査結果を踏まえた国や製薬企業の対応が切望されるところである。なお、同調査結果は、来年2月の定例会見で公表される。


    

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