住友ファーマは4日、抗がん剤として開発中のメニン-MLL タンパク質結合阻害剤「エンゾメニブ」(一般名、開発コード:DSP-5336)および選択的経口 PIM1 キナーゼ阻害剤ヌビセルチブ(一般名、開発コード:TP-3654)について、両剤ともにP1/2 試験で好結果を得たと発表した。同データは、12 月 6 ~9 日まで米国オーランドで開催される米国血液学会(ASH)2025年年次総会で公表される。
エンゾメニブは、再発または難治性の急性白血病患者を対象としてP1/2 試験が進行中で、lysine methyltransferase 2A(KMT2A)遺伝子の再構成、nucleophosmin1(NPM1)遺伝子の変異、またはHOXA9/MEIS1が関連する白血病の他のサブタイプを有する患者に対し、治療効果を示す可能性のある幅広い投与量において有望な臨床活性が引き続き示された。
また、エンゾメニブ単剤 40mg1日2回から400mg1日2回までの用量漸増試験において、116例で用量制限毒性(DLT)が認められなかったため、エンゾメニブは治療域が広く、白血病のタイプに応じて最適な治療効果が得られる投与量を調整できる可能性が示唆された。
また、200mg、300㎎および400mg1日2回投与で持続的な完全寛解(CR)および部分的な血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)が認められた。
さらに、NPM1遺伝子の変異またはMLL遺伝子の再構成を有する急性骨髄性白血病患者でのvenetoclax(VEN)/azacitidine(AZA)との併用において、300mg1日2回まで DLT は認められていない。また、エンゾメニブとVENの顕著な薬物相互作用の所見はなく、併用療法の忍容性は良好であることが示唆された。特に、VENまたはメニン阻害剤の前治療歴がない患者で、有望な初期の臨床活性が認められた。
白血病は、造血組織に発生する血液悪性腫瘍の一種で、骨髄における血液細胞(通常は白血球)の無秩序な増殖を特徴とする。白血病の一種である急性白血病では、血液細胞が急速に増殖し、突然症状が現れるため、早急な治療が必要とされている。急性骨髄性白血病患者の約30%が NPM1 遺伝子の変異を有し、5~10%がMLL遺伝子の再構成を有しているといわれている。
一方、ヌビセルチブは、再発または難治性の骨髄線維症患者を対象としてP 1/2 試験が進行中で、JAK 阻害剤モメロチニブとの併用において、初期の臨床活性と良好な忍容性が認められ、モメロチニブとの併用療法の開発継続を支持する結果が示された。
また、ヌビセルチブの単剤投与において、良好な忍容性と DLT がないことが引き続き示されており、サイトカインプロファイルの顕著な変化と臨床反応の強い相関が認められた。
骨髄線維症は稀な血液悪性腫瘍の一種で、JAKシグナル伝達経路の調節異常によって骨髄に線維組織が蓄積することを特徴とし、血液細胞の産生に影響を及ぼす場合がある。骨髄線維症は、重篤かつ希少な疾患で世界中で毎年 10 万人あたり0.7人が新たに発症している。
