田辺三菱製薬は14日、「ユプリズナ」(一般名:イネビリズマブ(遺伝子組換え)について、厚労省に全身型重症筋無力症の適応追加申請を同日行ったと発表した。同剤は、全身型重症筋無力症に対する希少疾病用医薬品の指定を厚労省より受けている。
ユプリズナは、基礎疾患の進行に関与する形質芽細胞および一部の形質細胞を含む自己抗体産生CD19陽性B細胞を標的として、持続的に枯渇させるヒト化モノクローナル抗体(mAb)である。患者は、初回投与の14日後に2回目の投与を受け、以降初回投与から6ヵ月ごとに1回の投与を受ける。
日本では2021年に「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を適応症として製造販売承認を取得し販売しており、現在、IgG4関連疾患の適応追加申請中である。
全身型重症筋無力症は、神経筋接合部における病原性自己抗体が関与する慢性の自己免疫疾患だ。眼周囲、眼球、四肢、呼吸器等に影響を及ぼす全身型の筋力低下を特徴とし、自己抗体の特異性により複数のサブタイプが存在する。
本邦の重症筋無力症患者数は2018年の全国疫学調査では約2万9000人、有病率は10万人あたり23.1人と推定される。重症筋無力症の発症年齢の中央値は59歳で、男女比は女性にやや多く、約80%が全身型重症筋無力症患者という報告がある。
現在、全身型重症筋無力症の治療薬として、ステロイドならびにステロイド以外の免疫抑制剤や分子標的薬が承認されているが、病原性自己抗体を産生するB細胞を直接の標的とした治療薬はない。
今回の承認申請は、全身型重症筋無力症を対象にしたP3国際共同治験(MINT試験)に基づくもの。ユプリズナの導入元であるアムジェン社と共同で実施したMINT試験により、同剤の有効性および安全性が評価された。
田辺三菱製薬は、希少疾患を含めたアンメット・メディカル・ニーズに応える医薬品を自社開発や他社等とのパートナリングを通して患者に提供できるよう取り組んでいく。