抗てんかん薬「セノバメート」 国内承認申請 小野薬品

 小野薬品は30日、抗てんかん薬「セノバメート」について、国内製造販売承認申請したと発表した。対象は、てんかん部分発作(二次性全般化発作を含む)。
 今回の承認申請は、既存の抗てんかん薬による治療でコントロール不良な部分(焦点)発作を有するアジア人患者を対象とした国際共同P3試験(YKP3089C035試験)の結果に基づくもの。同試験において、セノバメートと既存治療の併用療法により、既存治療と比較して、主要評価項目である発作頻度の変化率(中央値)において統計学的に有意な改善が示された。また、セノバメートと既存治療との併用療法で良好な安全性プロファイルが確認された。
 てんかんは、脳の神経細胞が異常に興奮した結果として発作が引き起こされる慢性的な脳の疾患である。日本では、約100万人のてんかん患者がいると言われており、長期的な薬物療法を必要とする。既存の抗てんかん薬を使用しているにもかかわらず、約30%の患者がてんかん発作を十分にコントロールできておらず、今なお、新しい抗てんかん薬が期待されるアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患である。
 セノバメートが治療的効果をもたらす詳細な作用機序は不明であるが、電位依存性ナトリウム電流を阻害することで、反復的な神経発火を減らすと考えられている。
 また、γアミノ酪酸 A型(GABAA)イオンチャネルの正の調節作用がある。セノバメートは、その臨床成績から高い有効性が示されており、てんかん治療の目標である発作消失をより多くの患者で達成可能な新たな治療選択肢となるものと期待されている。
 韓国、中国および日本で実施されたプラセボを対照とした国際共同P3相二重盲検無作為化比較試験のYKP3089C035試験では、1~3種類の抗てんかん薬の投与にもかかわらず部分(焦点)発作を有する18~70歳の成人を対象に、セノバメートの併用療法としての有効性および安全性が評価された。
 この試験では、患者を併用療法としてプラセボ群か、セノバメートを100、200もしくは400mgを1‍日1回投与する群に1:1:1:1の比率で無作為に割付けた。
 セノバメートは有効性に関する主要評価項目を達成し、すべての用量群において6週間の維持期での発作頻度の変化率(中央値)がプラセボ群に比べて有意に減少した。セノバメートの400mg群では発作頻度が100%減少した(プラセボ群:25.9%、セノバメート:100mg群で42.6%、200mg群で78.3%、400mg群で100%)。
 有効性の副次評価項目では、セノバメートのすべての用量群において6週間の維持期での発作消失率がプラセボ群に比べて有意に高いことが示された(プラセボ群:2.6%、セノバメート:100mg群で12.4%、200mg群で30.1%、400mg群で52.4%)。
 セノバメート投与群で多く認められた有害事象(20%以上)は浮動性めまいおよび傾眠であった。なお、同試験結果は、2024年米国てんかん学会(AES)年次総会のポスターセッションで発表された) 。
 2025年9月現在、セノバメートは欧米を含む世界25の国または地域でてんかんの部分発作に対する治療薬として販売されている。
 なお、国内において、小野薬品はセノバメートの成人および青年期のてんかん全般性強直間代発作を対象とするP3試験を実施している。
  

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