94カ国での気候変動対応保健システム構築に向けグローバルCSRプログラム通じて46億円拠出 武田薬品

 グローバルCSRプログラムを通じ、低・中所得国の人々のため、気候変動に柔軟に対応する保健システム構築に向けて新たに4つの団体に総額46億円(約3200万米ドル)を拠出すると発表した。
 気温が上昇し、異常気象による災害が相次ぐ中、同社は、特にその影響を受けやすい地域において、気候変動に強く人々が安定的に利用できる医療体制の維持が急務であると認識している。
 これらの地域での気候変動対策は深刻な資金不足にあり、慈善活動による資金提供は2%未満である。
 今回の取り組みにより、武田薬品は世界で最も脆弱な地域への支援を強化し、世界の保健システムが直面する深刻な危機に対応する。
 同取組みは、国際支援の状況が変化し続ける中で医療アウトカムの向上と気候変動に対する保健システムのレジリエンス(逆境に適応していく能力)強化に継続的に取り組む、武田薬品の社会的責任への考え方を反映している。
武田薬品のグローバルCSRプログラムは、2016年の発足以来、93カ国で2110万人以上の人々に直接的な恩恵をもたらしている。これには1530万人への医療サービス提供の向上、550 万人の地域社会住民への健康教育を通じた後押し、及び12万9000人以上の保健従事者への能力強化の支援が含まれ、保健システム強化の主要な構成要素全体にわたるサポートを強化している。
 今回の4つの新たなコラボレーションにより、武田薬品は計38の団体への総額334億円(約2億3871万米ドル)の拠出を行い、2030年までに94カ国5370万人の健康に貢献する見込みである。
 今年度は約80の国と地域で2万人以上の従業員が投票に参加する形でこれらの新規団体を選出した。これは、同社のグローバルでの企業市民活動における協働と従業員の声を尊重しつつ、社会に貢献することを重視する企業姿勢を反映している。2025年度に新たに追加されたパートナーへの支援内容は次のとおり。

・International Medical Corps(IMC)に9億600万円(約628万米ドル)を拠出。ケニアとソマリアにおいて、気候変動に適応した革新的なサプライチェーンの構築により、医薬品アクセスを改善し、560万人の人々を対象に医療ケアを向上させることで健康の増進に寄与する。

・The Society of Critical Care Medicine(SCCM)に15億円(約1,040 万米ドル)を拠出。ガンビア、リベリア、シエラレオネの中核病院において、気候変動下でも安定したエネルギー供給体制を整備することで、救命医療サービスへの継続的なアクセスを実現し、39万6000人の患者の命を守る。

・The United Nations Office for Project Services(UNOPS)バングラデシュ事務所に10億2400万円(約710万米ドル)を拠出。バングラデシュで気候変動に対応できる廃棄物管理システムを確立し、730万人以上の最前線で働く医療従事者や患者を有害廃棄物への曝露による深刻な感染症リスクから守る。

・Vitamin Angelsに12億1200万円(約841万米ドル)を拠出。インドネシア全土でエビデンスに基づく栄養介入を拡充することで、小児死亡率の低下に加え、子どもの発育阻害や母親の貧血症の予防など、1210万人を対象に母子保健の改善を目指す。

◆大薮貴子武田薬品チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ&サステナビリティ オフィサーのコメント
 2万人を超える従業員が今年のグローバルCSRプログラムに積極的に関与してくれたことを非常に誇らしく思う。これは、当社の企業姿勢と社会貢献への強い思いを示している。この従業員主導のプログラムは、従業員の想いに寄り添いつつ、企業市民活動を実現するものである。
 今年は地域に根ざした組織と提携し、気候変動に強い保健システムの構築に焦点を当てている。パートナー団体と共に、気候変動に伴う健康リスクに対処し、革新的な解決策を拡充し、長期的な適応能力を強化します。これらの取り組みは、気候の影響を最も受けやすい地域の健康面での成果を改善するだけでなく、より広範な変化も促進する。

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